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・「反体制的」とは限らない音楽
・「カーステレオの一曲目にも政治性」
・「ゴッチは政治イメージを広げようとしている」

 いよいよ始まるフジロック。「SEALDs」奥田愛基さんの参戦で盛り上がった「音楽に政治を持ち込むな」論争について、「そんなやりとりは非生産的だよ」と気鋭のポピュラー音楽研究者は待ったをかけます。なぜなら「音楽こそ政治」だからです。「だったらエグザイルの存在は?」「学校で合唱することも政治?」。大阪市立大学の増田聡准教授(ポピュラー音楽研究)が一連の騒動をクリアカットに読み解きます。

「反体制的」とは限らない音楽

――国内最大の野外ロックイベント「フジロックフェスティバル」に、奥田さんの出演が決まると、「音楽に政治をもちこむな」という言葉がネット上にあふれました。

 「これは『政治を持ち込むな』ではなく、ロックフェスのプログラムに左派的な政治主張を持ち込むなという反応ですよね。それがこういったスローガンに言い換えられて共感を呼んでいるのが興味深い。音楽と政治を区分し、異なる領域に位置付けたい欲望が社会に広がっているんでしょうね」

 「でもそれについての私のスタンスはすごいシンプルで、『音楽とは本質的に政治的なもの』ということになります。『音楽に政治を持ち込むな』というのは、『線路に電車を持ち込むな』と同じくらい無意味な主張と感じられます」

フジロックの「アトミック・カフェ」で原発について話す(左から)津田大介さん、TOSHI-LOWさん、細美武士さん=2015年7月24日

出典: 朝日新聞

――それはロック、引いてはポピュラー音楽が、元来、反骨精神を内包し、反体制、反商業主義的な歴史を持っていて……という論ですか?

 「反商業主義や反体制的であることがイコール政治的、ということではありません。音楽は本質的に〈政治的〉なのですが、本質的に〈反体制的〉なのではない。体制に異論を唱える主張ばかりを『政治的』とみなして区別する見方がそもそも偏っているのです」

――体制に協力する音楽の存在が欠けていると

 「今回メディアは、ロックの反体制的歴史をことさら取り上げ、『だから音楽に政治を持ち込め』と結んでいた。そのような議論に欠けているのは、体制順応的な音楽もまた政治的なものであるという認識です。政府のイベントに協力するエグザイルだって極めて政治的ではないですか」

安保関連法案に反対し、ステージ上で声を上げる奥田愛基さんら=2015年9月11日

出典: 朝日新聞

「カーステレオの一曲目にも政治性」

――「政治を持ち込め」派の主張も不十分だったわけですね?

 「『持ち込め』派と『持ち込むな』派は、どちらも政治的な音楽と非政治的な音楽が区別できると信じている点で等しく、また反体制的なものだけに政治性を背負わせている点でよく似ています。私が言いたいのは、音楽は根源的な水準で、そのまま様々にミクロな政治性に満ちている、ということです」

――どういうことですか?

 「エルビス・プレスリーの歌の歌詞にはあからさまな反体制的なメッセージはありません。そもそも彼はとても保守的な人ですし。でもビートに乗って腰を振るしぐさや、彼の黒人的な歌唱法やサウンドは、1950年代の米国社会の文脈において、極めて政治的なインパクトを与えました。アメリカ大衆の人種観に決定的な影響をもたらしたのです」

エルヴィス・プレスリーの誕生日に銅像の前に集まるファン=1995年1月8日、ロイター

――日本だと?

 「日本なら、65年に来日したベンチャーズのエレキサウンドが、青少年にエレキブームを巻き起こし、当時は『不良化につながる』『社会秩序への脅威』とみなされました。担い手当人の意図にかかわらず、音楽がいやおうなく政治的な機能を果たすことはしばしばあります。70年代のカーペンターズは、一見とても『非政治的で安全』な音楽と思えますが、同時代の冷戦期のソ連に持っていったらどうでしょうか」

――聞く場所によっても政治性を持つわけですね?

 「フランスの思想家ジャック・アタリは、ある社会的空間のなかで、どの音を選び誰に聞かせるかという行為自体が潜在的な政治性を持つ、と指摘します」

 「学校現場で特定の曲を選んで合唱することや、カーステレオで何を流すかすらも、『人々を空間の中で特定のかたちに秩序付ける』という点で政治的な振る舞いなのです。そういった意味で、音楽と政治を切り離すことができないという端的な事実を、まず最初に私たちは確認しておく必要がある」

「実はロックおやじ世代もそれほど戦ってはいない」

――ロックの反体制うんぬん以前に、音楽と政治そのものから考えるべきだと

 「そもそも、ポピュラー音楽、特にロックの歴史に関しては、社会体制に対する反抗的なエピソードばかりが特権的にとらえられる傾向がありますが、娯楽的、体制順応的な側面がないと商業音楽として普及することはない。その矛盾したあり方こそが面白いのを忘れてはいけません」

――確かに『反抗して売れる』というのはロックのお家芸かもしれません

 「体制に反抗するスタイルが大衆の欲望を喚起し、ヒットを生み、資本主義体制を補完する。英国のパンクバンド、セックス・ピストルズの『ゴッド・セイブ・ザ・クイーン』(77年)がマスメディアから締め出されながらもヒットしたのは、その極端かつポップな体制反抗的態度こそが、マスメディアの良識的な姿勢に違和感を抱く大衆の支持を得たからです。ロックはそのような『体制に逆らう態度によって体制を補完する』という矛盾を常にはらんでいるから面白い」

セックス・ピストルズのメンバー=1996年3月18日、ロイター

――予期せぬ矛盾こそが魅力なんですね?

 「大学の授業では『ロックとは何か』という問いについて『資本主義社会の中で、利潤を目的として生産される商業音楽の一つ』と最初に説明します。基本的には体制内的な音楽実践がしかし、プレスリーのケースに典型的なように、時に意図しない社会的摩擦をひき起こすことがあるからこそ、ロックは20世紀の典型的な『政治的音楽』とみなされてきたのです」

――矛盾を楽しめと

 「でも大人たちは、その矛盾を覆い隠し、『反抗』『反骨』『反体制』を勇ましく強調し、後続世代に『お前らも戦え』と押しつける。社会体制に順応する音楽を好む多くの人々の存在は無視されがちです。今回の騒動について考えるならば、そんなロックの多面性を威勢の良い左派的な物語に落とし込むことへの世代的な拒否反応が、『政治を持ち込むな』というスローガンに集約されたところがあるのかもしれない」

フジロックに計7回出演した故・忌野清志郎さんは反原発ソング「サマータイム・ブルース」などで、政治的なメッセージを発信してきた=写真は1992年4月18日に武道館で撮影

出典: 朝日新聞

「マンガやクラブ音楽なら、こんなことは言えない」

――一体「音楽に政治を持ち込むな」と言っている人の「政治」って何でしょう?

 「繰り返しますが、音楽は本質的には政治的なものです。でも、『政治を持ち込むな』と主張する人たちの政治イメージは、投票や行政といった制度化された政治の領域と、反体制的なスタイルだけに限られており、それ以外の政治的振る舞いをすべて『非政治的』なものとみなす傾向がある」

 「そこには『制度化された政治』と『ミクロな日常的政治』との間のグラデーションが存在しない。政治文化自体の未成熟という言い方はしたくないですが、政治的なものと非政治的なものをきっぱり切り離し区分けしたい、という日本社会の大衆意識がそこには反映されているように思います」

――なぜ、今回、音楽がことさら「政治的」に扱われたんでしょうか?

 「例えば『マンガに政治を持ち込むな』とはあまり言われませんよね。それはマンガ自体が政治に左右される立場にある文化ジャンルであるからです。表現規制や著作権問題といった形で、自分たちの楽しみがいやおうなく政治的な文脈に関わらざるをえない環境に置かれている」

 「だからマンガ関係者は、表現の存立基盤に関わる政治的な環境を意識せざるをえない。音楽でも、風営法問題で揺れたクラブミュージックの世界では『政治を持ち込むな』なんて言われることはありません」

クラブ摘発について議論するパネリストら=2012年9月12日、東京都渋谷区

出典: 朝日新聞

――つまりロックやポップスは平和の地に安住している、と

 「こんにちのロックは時代を経て、政治的に安定した文化ジャンルになってしまったわけです。かつてのように『エレキギターは不良の楽器』と言われ、それに反発した寺内タケシさんが学校ライブを続けるといったことも必要なくなった。マンガやクラブミュージックのように、具体的な政治に自分の楽しみが脅かされていたら、『政治を持ち込むな』といった呑気なことは言えない」

――戦う必要がない?

 「自分のコミットしているジャンルが安泰であれば、『できるだけ政治を遠ざけておきたい』『音楽や芸術を、自分と対象の関係の中だけで理解したい』。そういう受容態度が支配的になるのは人情としてはわかります。しかし、現時点の快楽ばかりに固執するそのような姿勢は、そもそも政治的で矛盾した音楽の快楽の一部分しか理解しようとしない姿勢でしかないですし、そもそも自分の愛着の対象がマンガやクラブ音楽みたいな状況に陥ることに想像が及んでいないと言わざるをえません。ジョン・レノンは『想像しよう』と歌ってましたけどね」

高校生の前で演奏する「寺内タケシとブルージーンズ」のメンバー=2009年9月25日

出典: 朝日新聞

「ゴッチは政治イメージを広げようとしている」

――今回の論争から何を学べばいいのでしょう?

 「音楽を聴く人たちの政治イメージの狭さを広げること、政治というものに抱くイメージの硬直性をやわらげることが必要なのかもしれません。今回の問題で、ロックバンド、アジアンカンフージェネレーションの後藤正文(Gotch)さんが積極的に発言されていましたが、彼はおそらくそういった観点から、音楽を聞く人たちの政治イメージの狭さを広げようとしている音楽家なのではないかと感じます」

――左右の主張ではなく?

 「後藤さんは、音楽そのものに主義主張を込めることにはすごく抑制的です。その一方で、自分の音楽をどのような文脈の中に落とし込めば、特定の党派性に回収されることなく、エルビス・プレスリーが果たしたような政治的作用をもたらすことができるかを考えているように思える。1曲に込めた政治的なメッセージで世界を変える、といった意味で『音楽の政治的効果』を捉えていないのです」

 「後藤さんの発言を見ていると『音楽を楽しみながらよりよい社会を実現する』上で自分に何ができるか、ということにとても意識的な人なのだろうと思います。少し前の世代なら佐野元春さんなり、故・忌野清志郎さんが担ってきたようなことを、いまおこなっているといえるのではないでしょうか」

アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文さん=2016年4月28日

出典: 朝日新聞

――改めて音楽の持つ政治性とは?

 「特定の政治的メッセージを言葉で歌って人々に伝えることだけが『音楽の政治性』ではない、ということは何度でも繰り返し主張されるべきです。音の秩序や質感がもたらす快楽と、社会秩序の理念とが個人や集団の中で密接にからまり合い衝突し、『言葉にできない』水準で人々の身体と想像力に働きかけます」

 「例えば、60年代のソウルミュージックがアメリカ社会に提示した人種統合の感覚が、のちのオバマ大統領の登場を準備したように、その現れはゆっくりとしたものではあれ、音楽が産み出す新たな身体性と想像力とがやがて社会の古い秩序を組み替えることへと至ります。それが音楽の持つ政治性の本質的な働きなのです」
  


Posted by いざぁりん  at 00:21
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http://withnews.jp/article/f0160730002qq000000000000000W01l10101qq000013780A?ref=social_ranking
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・「気がついたら炎上していた」
・「違う意見の人と話すのは面倒臭い」
・「2、3年前だったら俺もそこで座って聞いていた」

 「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さんが参加したことで注目を集めた今年の「フジロック」。当日、トークセッションに登場した奥田さんに、観客の1人が激しい口調で質問を投げつけました。「こんなことやっても何も変わらない」。不穏な空気が漂う中「今は電力会社も選べる時代。日常の中でもできることがある」と答えた奥田さん。当日の様子を振り返ります。

アトミック・カフェで登壇する(左から)津田大介さん、奥田愛基さん、吉田明子さん=湯沢町

出典: 朝日新聞

2011年からスタート

 奥田さんは、7月23日にあった音楽フェス「フジロック」のイベントの一つ「アトミック・カフェ」に登場しました。イベント前、安全保障関連法に反対する活動をしてきた奥田さんの参加が発表されると、ネット上で「音楽に政治を持ち込むな」などの意見が出て注目されました。

 「アトミック・カフェ」は、反核のメッセージを発信する取り組みとして、東京電力福島第一原発事故のあった2011年から、フジロック内で開催されてきました。

 この日は、奥田さんのほか、ジャーナリストの津田大介さんと国際環境NGO「FoE Japan」の吉田明子さんらが登壇しました。

2015年のアトミック・カフェで話す(左から)津田大介さん、TOSHI-LOWさん、細美武士さん=湯沢町

出典: 朝日新聞

「気がついたら炎上していた」

 冒頭、奥田さんは「別に政治を持ち込みに来たわけではないですけれどね。『ここでしゃべって』と頼まれて、気がついたらネットで炎上していた」とあいさつ。東日本大震災を機に東北でボランティアをしたことや、国会前でのデモなどについて振り返りました。

 参院選の結果については、野党連合が1人区で11議席を取った成果を評価。その一方で「野党は政策の中身を具体的にアピールできていなかった。議論の過程が全然見えない、説明する気があんまり無さそう」と指摘しました。

国会前のデモで、安保法制反対を叫ぶ奥田愛基さん=2015年9月15日、東京都千代田区、関田航撮影

出典: 朝日新聞

「今、困っている人の声を聞くことも大事」

 その後、ステージの下にいた男性が厳しい口調で問いかけました。

 「原発がやばい(と思っている)なら、原発の前で1人で立って、命がけでやらないと(いけない)。なぜ立候補しないのか。この国は原発をOKにしちゃっている。こんなことやっても何も変わらない。俺は絶対に(選挙に)行かない」

 それに対し奥田さんは、沖縄県東村の米軍北部訓練場のヘリパッドの移設工事を挙げて答えました。

 「ヘリパットの前で今も叫んでいる人がいる。立候補して声を上げるのも大事。でも、今、困っている人がいて、その人の声を聞くことも大事」

ヘリパッド移設工事再開に抗議し座り込む人たちを排除する機動隊員ら=2016年7月22日、沖縄県東村高江、上田幸一撮影

出典: 朝日新聞

「違う意見の人と話すのは面倒臭い」

 奥田さんが強調したのが、選挙以外にも、政治について考えるきっかけはあるということ。

 「フジロックってごみの分別、めっちゃやっているじゃないですか。これだけでも、何か変化はあるわけです。自分たちがどんな電力を買えるかも、今、選べる時代だし。日常の中でもできること、あるんじゃないかと」

 また、結果的に場の空気を変えてしまった男性の質問を受けて、民主主義の「面倒くささ」についても言及しました。

 「政治のことが面倒臭いのは、自分と違う意見の人と話すのが面倒臭いから。だけど、この面倒臭いものを越えないといけない。今、ここにいる人たち、名前は知らないけれど、この社会をどうやって一緒に生きていくかというのが、政治だから。さっきあの人(質問した男性)は、選挙に行かなくたっていいと言ったけれど、みんなが無関心になっちゃった社会は、けっこうやばいと思う」

自然と音楽の共生がテーマのフジロック。会場内の川辺には、シャボン玉や水遊びを楽しむ人の姿も=2016年7月22日、新潟県湯沢町の苗場スキー場

出典: 朝日新聞

「2、3年前だったら俺もそこで座って聞いていた」

 イベント終盤、津田さんから「ちょっと熱めで」メッセージを求められた奥田さん。

 「俺はぶっちゃけ、この先の社会があんまり良くなると思っていない。でも、だから、だから面倒臭くても政治のこと、考えないといけない」と訴えました。

 開催前から注目された今回のイベント。奥田さんは「ここに来たら叩かれるんだろうなとか、いろんな人にいろんなこと言われるんだろうなって思った」と胸の内を明かしました。

憲法記念日のイベントでスピーチする奥田愛基さん=2016年5月3日、東京都江東区、金居達朗撮影

出典: 朝日新聞

 その上で「ほんの少しの勇気」の大切さについて語りました。

 「それでも、俺はここで、立って話しました。ほんの少しの勇気っすよ。2、3年前だったら俺もそこ(観客席)で座って聞いていた。だから、ちょっとの勇気なんで、周りの人や友達でいいんで、社会のことについて、真剣にしゃべりませんか?」

 最後、津田さんは次のようにまとめました。

 「さっきあの人(質問した男性)がいて、(イベントが)盛り上がってよかった。あの人もたぶん、飲んだら面白い人なんだよね。確かに、この国の政治、なんでこんな変わらないのって思います。そういうのを含めて、皆さんに持ち帰っていただければと思います」
  


Posted by いざぁりん  at 00:21
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 広島での原爆投下から71年となる6日。同県内で配られた朝刊のテレビ番組表(ラテ欄)には、地元の中国放送(RCC)がナイター中継する、プロ野球・広島カープの対巨人戦の放送内容が載っています。広島にとって特別なこの日、「縦読み」に仕込まれた隠しメッセージは「今を戦前にさせない」。首位独走のお祭り気分と一線を画したこの言葉には、被爆地の声を伝え続ける地元メディアの矜持が込められていました。

8月6日は趣向が変わる「縦読み」

 地元チームのスポーツ中継を担うテレビ局がファンを時折ほっこりさせる、ダジャレや自虐ジョークをちりばめたラテ欄の縦読みメッセージ。
 ですが、8月6日にRCCがカープ戦を中継する際には、ガラッと趣向が変わります。
 「原爆の日」にちなみ、「カープ応援できる平和に感謝」(2014年)、「86を次世代に伝える」(15年)といったように、戦争と平和への思いが込められます。

オバマ米大統領の訪問から一夜明け、多くの修学旅行生や外国人観光客らが訪れた平和記念公園=2016年5月28日

出典: 朝日新聞

例年にも増して強い決意

 そして、カープがセ・リーグ首位を独走する今年。25年ぶりの優勝に期待が高まるさなかの縦読みは意外にも、例年にも増して強い決意をうかがわせる言葉でした。
 よく読むと、そもそも放送内容の文章自体が、平和を希求する熱い思いに満ちています。

今思い出す野球に希望
を託しカープの一球が
戦後復興を支えた日々
前途洋洋カープ快進撃
に沸く広島で平和の尊
さ伝えたい!語り尽く
せぬ思いを胸に核兵器
なき未来まで響かせた
い平和の大歓声!

カープ首位独走の熱気に沸く本拠・マツダスタジアムでの観戦風景。ジェット風船を飛ばすファンたち=2016年7月23日

出典: 朝日新聞

「私たちの信念が試されている」

 この文章を作ったのは、同社スポーツ部のテレビ中継プロデューサー、松本清孝さん(40)。
 シンプルながら力強いこの言葉に松本さんが込めた思いとは? ウィズニュースの取材に、次のようなコメントを寄せています。

 今年5月、アメリカのオバマ大統領が広島を訪問し、スピーチする姿を見ながら思いついた言葉を縦読みにしました。

 被爆から71年がたち、広島では、被爆体験を継承する難しさが課題となっています。

 被爆者の平均年齢は80歳を超え、被爆体験を直接聞く機会が確実に減少する中、どうすれば、原爆や戦争の恐ろしさを伝えていけるのか。

 広島の原爆死没者慰霊碑には、”安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから”と刻んであります。

 私も原爆で祖父など親族を多く亡くしていますが、原爆だけでなく、戦争の犠牲になったすべての方に安らかに眠ってもらうには、その子であり、孫である私たちの信念が試されていると感じています。

 平和はあるものでなく、つくるもの。

 これから先、再び戦争を起こさないためには、私たち一人ひとりが、どれだけ強く意識し、今ある平和を守っていけるかが、大切だと考えています。

 そして、広島が焼け野原からの復興を歩む傍らに、カープの存在は欠かせないものでした。

 カープから、復興への力を得た広島、その広島が育んだカープ。

 カープは、広島にとって、ただの野球チームではなく、家族です。

 カープに送る平和の大歓声を、広島の空に、永遠に響かせたい。


被爆者の森重昭さんを抱き寄せるオバマ大統領 =2016年5月27日

出典: 朝日新聞

「ピース」尽くしのナイター中継

 RCCの主催でもある本拠マツダスタジアムでの6日の試合は、「ピースナイター2016」と銘打って、赤と緑のポスターを観客が掲げて平和を訴える演出や選手による折り鶴の展示、追悼行事の中継などの企画があります。

昨年の「ピースナイター」の様子。広島カープの監督、コーチ、選手全員が同じ背番号「86」をつけた=2015年8月6日

出典: 朝日新聞
  


Posted by いざぁりん  at 00:20
こちらです。
http://news.yahoo.co.jp/feature/283
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<既に80を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています>

2016(平成28)年、8月8日、天皇陛下は「お気持ち」を表明された。丁寧かつ慎重に選ばれた言葉からは、「象徴としての役割」を全うできないことへの懸念がうかがわれた。異例のビデオメッセージを出すことになった背景とは何だったのか。また、そもそも陛下とはどんな方で、どんな背景から発言されたのか。元宮内庁職員と皇室に詳しいノンフィクション作家が陛下の真意を探るとともに、陛下の歩みを振り返った。(対談が行われたのは8月1日)(ジャーナリスト・森健/Yahoo!ニュース編集部)

NHKのスクープ報道の意味

去る7月13日19時、NHKがスクープを報じた。「天皇陛下『生前退位』の意向示される」。天皇陛下が、天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁関係者に示されていることがわかった、という内容だった。報じたNHK以外、宮内庁の記者クラブのどの社も知らないという異例な事態だった。

山下晋司(以下、山下):あの日、19時1分ぐらいにかかってきた電話で報道を知りました。まずは驚いたのですが、よく考えると、この方法しかなかったのかなと思いました。天皇は憲法上の立場から法改正を要求するようなことはすべきではありません。宮内庁も内々にはお伺いしていてもそれを「陛下のご意向」として外部に出すわけにはいきません。しかし、陛下のご意向は国民に伝えたい……。結果、今回のリークという形になったのかなと思いました。

奥野修司(以下、奥野):もう一つ、あの時の報道時間にも意味がありましたね。21時のニュースではなく、19時のニュース。これは夜の報道番組や翌日の朝刊に間に合う時間です。これはNHK発ではありますが、全マスコミに報じてほしいという意図を感じました。

奥野修司氏(左)、山下晋司氏(右)。2時間にわたり語ってもらった(撮影: 岡本裕志)

皇室ジャーナリストの山下晋司氏は元宮内庁職員。宮内記者会など報道機関を対応する報道室など23年間勤務ののち、2001年に退職。雑誌『皇室手帖』の編集・発行人を務めた。現在はBSジャパン「皇室の窓」の監修などに従事している。ノンフィクション作家の奥野修司氏は、長年にわたり雑誌の現場で皇室を取材。2001年には、皇室史上初めての病院分娩に挑んだ『皇太子誕生』(文藝春秋。現・講談社文庫)の著書もある。

二人が今回の報道に触れて思い出したことは重なっていた。昨年10月富山県の「全国豊かな海づくり大会」でのお間違いである。同式典に出席されていた陛下は、閉会の挨拶をしようとした県会議長に手招きをし、「最優秀作文の発表は終わりましたか」と尋ねられた。だが、それはすでに終わったものだった。思いもかけぬお尋ねに関係者も大慌てした事件だった。

2015年10月、第35回「全国豊かな海づくり大会」の稚魚の放流行事に出席した天皇、皇后両陛下(写真: 読売新聞/アフロ)

奥野:あれには最初は驚きましたが、陛下のお年を考えると、あれくらいのお間違いはあってもおかしくない。ただ、一度そういう失敗をされたことで、陛下の中にまた間違ってはいけないという懸念がくすぶっていたのかなと思いました。

山下:あの一件では、誰よりも陛下ご自身が相当ショックを受けられただろうと思います。実際、12月のお誕生日の会見ではその一件に触れ、こう述べられました。

<私はこの誕生日で82になります。年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました。したがって、一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです。>

ただ、そこで思ったのは、いま以上にどうやって注意されるのだろうかということ。なぜなら陛下はこれまでも、行事などへの準備は徹底的すぎるほどに取り組まれてきたからです。

奥野:以前『皇太子誕生』という本を書いたのですが、取材の際、陛下のご学友などが口を揃えたのが「完璧主義者」という表現です。それが富山の件の際に、頭に浮かびました。ああいうお間違いをなさると、完璧主義者の陛下としては退位を考えられても不思議ではありません。

山下:陛下の完璧主義的なお考えは宮内庁職員のほとんどが感じていると思います。口に出されたことは必ずおやりになりますし、ご自分に相当厳しい。御所でお時間が少しでもあると、資料に目を通されたり、お言葉などの推敲に取り組まれたりしている。そのご性格からすると、かりに公務を減らしても、ご自分の時間を最大限使われるようにも思います。

奥野:昭和天皇のように「よきにはからえ」というわけにはいかないんですね。

ノンフィクション作家・奥野修司氏。1948年生まれ、大阪府出身(撮影: 岡本裕志)

「素顔」の陛下

山下:昭和天皇といまの陛下では違いますね。たとえば何かご説明をするとき、昭和天皇はすべて侍従(天皇の身の回りの世話をする人)からされるのが普通でしたが、陛下は侍従にこだわらず、直接の担当者をお呼びになったりします。行幸啓なら総務課長、お庭や樹木のことだったら庭園課長。つまり、内容を本当にわかっている人から話を聞きたいということです。

奥野:無駄がない。合理的ですね。

山下:そうした姿勢は一貫していて、たとえば陛下はパソコンをお使いになりますが……。

奥野:パソコンですか。まさかネットも……。

山下:いや、陛下も皇后陛下も、ネットをなさっているという話は聞いたことはありません。以前、陛下はワープロ専用機をお使いになっていましたが、十数年前パソコンに替えられたようです。宮内庁も他官庁と同様にネットワークが構築されていますが、陛下や皇族方は公務員ではありませんので、そのネットワークには入っていません。

皇室ジャーナリスト・山下晋司氏。宮内庁勤務は昭和と平成にまたがる(撮影: 岡本裕志)

奥野:それでも80歳を超えてパソコンを操作されているだけでもすごいですね。

山下:そこで陛下が陛下らしいのは、プリンターを使うときには、印刷しそんじた紙の裏側も使っておられることなんです。

奥野:そこまでされるんですか。

山下:はい。新しい紙ばかり使っていたら陛下からお叱りを受けるでしょうね。

奥野:そうした姿勢で思い出すのは、陛下の「国民とともに」というお言葉です。このフレーズは、即位なさってから頻繁に出てきます。この言葉は「国民と同じ目線で」というのが真意なのではないかと思うのです。

そんな姿勢を示された最初が平成3年(1991年)の雲仙・普賢岳でのお見舞いです。報道関係者を中心に43名もの被害者を出した火砕流でしたが、即位されて初めての被災地訪問をなさった。あの時、天皇陛下として初めてひざまずいて、避難の被災者にお言葉をかけられた。大事なのは、ひざまずいて国民に目線を合わせたことです。昭和天皇時代まではありえなかったことで、あそこにいまの平成皇室の第一歩を見ることができます。

長崎県雲仙・普賢岳噴火災害に際し、島原市の避難住民をお見舞い。1991年7月、島原市立総合体育館(写真: 読売新聞/アフロ)

山下:おそらくそれが、陛下が「象徴天皇とは何か」ということを考えぬいた末に出てきた結論だったのだと思います。日本国憲法には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と記されていますが、どういうことが象徴なのかは書かれていないのです。

奥野:だとすれば、「ご公務」を国民に見せることで象徴天皇というものをつくっていくしかない。

山下:憲法で記されている天皇の義務=国事行為は「国会の召集」「栄典の授与」など基本的にはデスクワークで、国民の目には見えません。各地へのご訪問は「天皇としての公務」と言われていますが、これは陛下のご意思を踏まえて行われることなんです。憲法に書かれていない公務と言っていいですが、そのご活動を目にした国民が陛下の人間性を感じて敬愛し、信頼・尊敬する──それが象徴につながるお考えなのだと思われます。

陛下の原点

山下:そうした陛下の考え方の原点で大きいのは、戦後すぐ、陛下の学習院中等科ご入学時、教育掛として小泉信三元慶應義塾塾長が就いたことでしょう。小泉氏が紹介した福沢諭吉の『帝室論』(皇室は政治社会とは別に存在するべきものという言論集)や英国の『ジョージ五世伝』などは、陛下の人格形成には大きな影響を与えたように思います。

奥野:同じ頃もう一人重要なのが、中等科時代の家庭教師、エリザベス・ヴァイニング夫人です。陛下が“自分で考える”ことを学んだのは、彼女を通してでしょう。戦前までの教育では完璧な君主になるために天皇は間違ってはならない、と徹底的に教えこまれました。これは“覚える”教育です。しかし、ヴァイニング夫人は陛下に“自分で考える”ことを促した。クラス全員に英語名の名前をつけ、陛下には「ジミー」というニックネームを与えた。未来の天皇という役割から自由にさせたわけです。そこで培われたのは『個とは何か』だったように思います。

山下:同感です。それがのちに「象徴天皇とは何か」というテーマを考える土台になったのではないかと思います。もっともわかりやすいところでは、皇太子妃殿下──美智子さんをご自分でお選びになったこと自体で、すでに発揮されていたと思います。過去のご成婚では、ご本人の意向もあるものの、基本的には周囲が認める皇族・華族などから選ばれるものでしたから。

終戦の翌年、東京都北多摩郡小金井町(現・小金井市)にあった学習院中等科をヴァイニング夫人が訪れ、皇太子殿下(当時)の授業を参観(写真: 毎日新聞社/アフロ)

1959年4月10日、ご成婚パレードの馬車から微笑む皇太子(当時)ご夫妻(写真: 毎日新聞社/アフロ)

奥野:自分自身でお考えになり、行動するという志向性は、即位される前の皇太子時代でもはっきり表れていますね。沖縄復帰後の1975年、当時の皇太子夫妻は沖縄国際海洋博覧会に際して訪問された参観後にひめゆりの塔で火炎瓶を投げられた。それでも殿下はまったくめげず、その後も繰り返し沖縄に通ってこられた(2014年6月で通算10回)。

山下:「ひめゆりの塔事件」は過激派左翼によって起こされましたが、あの時のことを宮内庁の先輩に聞くと、沖縄で過激派の動向、情勢の悪さが宮内庁に伝わっていて、庁内にも訪問反対があった。でも、陛下は「絶対行くんだ」と押し通した。鬼気迫る迫力があったという話です。

1975年7月17日、沖縄県糸満市のひめゆりの塔を訪れ、慰霊の碑に献花。火炎瓶が投げつけられる直前の撮影(写真: 毎日新聞社/アフロ)

奥野:海洋博の閉幕式にご出席されたときのご訪問でも、陛下らしい話を聞きました。沖縄の伊江島の空港で降りたときに、赤軍派がいるとかで周囲は警備が大変だったようなんです。それでも、当時の両殿下は「ちょっと止めて」と突然車を止めて、さとうきび畑の中に入って行く。そして「このさとうきび、どうするんですか」と農家に尋ね、牛の餌にするとの説明を聞くと、「牛を見ましょう」とさらに奥まで行ってしまう。危険を顧みず、国民生活に近く寄っていく姿勢は、いま被災地を巡られているのと変わっていないんです。

山下:国民に接していく点では、両陛下は少しでも多くのところに出向き、直接ご自分の目で見て、ご自分の耳で聞き、ご自分の言葉で話しかけたいと考えておられるようです。

奥野:2011年の東日本大震災もそうでしたね。震災の翌月には宮城県南三陸町の歌津へ行き、被災者にお声をかけられた。じつは先月、あの時にお声をかけられた千葉みよ子さんという方に話を聞きました。たった一人の孫娘を津波で失った千葉さんはあの時に絶望していて、自殺まで考えていたそうです。ところが、両陛下がお見えになり、耳を傾けてくださった。そして「(孫娘が)見つかるといいですね」「お体を大事にしてください」と声をかけてくださった。そこで千葉さんは感激し、前向きに生きていこうと考え直すことができたという話でした。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、3月16日にビデオメッセージを発表するとともに、数多くの被災地・避難所に足を運ばれた。4月27日、南三陸町立歌津中学校(宮城県南三陸町)(写真: ロイター/アフロ)

山下:陛下ご自身がそうやって多くの訪問を望まれるために、結果、公務が増えてしまっているという面もあります。すぐお側で仕えている内舎人(うどねり)たちは、陛下を毎日拝見しているわけですが、内舎人経験者から陛下の悪口など聞いたことがありません。国民から見えないところでも陛下のお姿というのは同じなんですよ。

奥野:そんな陛下からすると、公務を満足にできないのであれば、象徴天皇制がうまくいかないと考えるのではないでしょうか。完璧に公務をできず、公務を休むことはそれが別のメッセージと考えてしまう。だったら、公務をできる人に譲りたいと発想するのはきわめて自然です。

「天皇家」という家族の問題

奥野:そこで再度考えたいのは、なぜいまだったのかという時期の問題です。いま昭和天皇の弟、陛下にとっては叔父にあたる、三笠宮崇仁親王は現在100歳です。もしいまの陛下が三笠宮のように100歳になった場合、皇太子は73歳です。そうしてさらなる高齢になってからの受け継ぎでよいのかということです。

山下:それは皇太子殿下にとっても間違いなく、大変な負担になるでしょうね。かりに73歳で天皇に即位されると、体力など、公務でどこまでおできになるかわかりませんからね。

奥野:やはり新しい天皇が即位するというときに、その天皇が老いたという印象を与えるより、健康であり、元気であってほしいものでしょう。単純な国民意識として。だとすると、やはり引き継ぐのはある程度若さが必要だと思うのです。

山下:実際、いまの陛下が即位されたのは55歳で、当時「こんなお年で」と言われたものです。ですが、いま皇太子殿下は56歳で、すでに超えられています。愛子内親王殿下がまだ中学3年生とお若いので、殿下もその分お若く見えるのですが、そうも言ってられないのです。

奥野:また、新しい天皇像が国民の間に確立されるまでにはしばらく時間がかかるんです。いまの陛下だって、即位してまもない頃は「マイホーム天皇」など、ひどい言われようでした。国民の信頼を得られるようになったのは1995(平成7年)の阪神・淡路大震災でお見舞いに行かれてからです。その時点で、7年経っている。

阪神・淡路大震災で避難先の被災者を見舞う両陛下。1995年1月31日、兵庫県西宮市立中央体育館(写真: 毎日新聞社/アフロ)

山下:即位された当時は宮内庁内でも批判的な意見はありました。象徴天皇の定義がありませんので、天皇のイメージイコール昭和天皇でしたから……。

生前退位に関しての今後の流れを仮定しますと、有識者会議やヒアリングを経ると、国会審議は早くて2018年1月の通常国会になるでしょう。そこで生前退位が可能な法整備が整ったとして、退位されることが決定してもすぐというのは考えづらい。ですから、数か月から場合によっては一年程度の後に退位されることになるのではないでしょうか。

奥野:すると、2019年か2020年……。

山下:そうなりますね。「2020年東京オリンピック」で、全世界に日本の新天皇が紹介されるということになるかもしれませんね。

奥野:それはいいですね。

山下:そこまで陛下ご自身がお考えになったとは思えませんが、結果的にそうなる可能性があります。そう考えると、今回の報道はいいタイミングだったのではないかと思います。

奥野:いずれにしても、議論はいいことです。ただ、私が大事にすべきかなと思うのは、本来今回の話というのは「天皇制」ではなく、「天皇家」というご家族の話だということです。天皇という役割や制度の話ではなく、体力だったり、高齢だったりという話。どの家にも共通の当たり前の話なんです。

山下:国家と皇室、憲法と天皇家という関係を、どのようにすればよい関係になるのか。それをあらためて考える時期がきているのかもしれませんね。

2015年12月、82歳の誕生日にあたっての記者会見(写真: 読売新聞/アフロ)

象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば 宮内庁ホームページ

森健(もり・けん)
1968年東京都生まれ。ジャーナリスト。2012年、『「つなみ」の子どもたち』で大宅壮一ノンフィクション賞、2015年『小倉昌男 祈りと経営』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『反動世代』、『ビッグデータ社会の希望と憂鬱』、『勤めないという生き方』、『グーグル・アマゾン化する社会』、『人体改造の世紀』など。  


Posted by いざぁりん  at 00:20
そもそも、共和制の我が国に、君主制は、必要ありません。
歴史的には、君主制の維持と引き換えに、憲法第9条が置かれたわけですが、安保も安保法制も自衛隊もある今、我が国の君主制は、即刻廃止されなければ、釣り合いが取れません。
仮に、もうしばらく、君主制を維持するにしても、現状はブラック企業なので、退位の権利と即位拒否の権利が、そして、男女平等の社会参画の権利が、認められなければなりません。
今起きているのは、天皇と日本会議の対立、ということでしょうか。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20160812-00061022/
(以下は、コピーです)
保守派を困惑させた天皇陛下の「おことば」──二度目の「人間宣言」が巻き起こした波紋

松谷創一郎 | ライター、リサーチャー 2016年8月12日 5時30分配信

2016年8月8日、宮内庁でおことばを述べられる天皇陛下。

天皇陛下の問題提起

8月8日に発表された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」は、予想以上に踏み込んだ内容だった。事前に宮内庁と官邸との間で調整があったとは言え、そこには天皇陛下自身の退位への強い思いがかなり残されていた。

誤解を恐れずにいえば、その概要は「天皇の今後についての問題提起」である。現在の制度のままであれば、いつしか天皇としての「務め」を十分に果たせなくなり、「深刻な状態に立ち至った場合」には社会が停滞することを懸念されていた。さらに、葬儀関連の行事で残された家族に大きな負担がかかることも心配されていた。

象徴天皇がそんなことで良いのだろうか?──天皇陛下はそう問いかけたのだ。

各社の世論調査では、いずれも80%を超える割合で生前退位に賛成の傾向が見られる。あとはどのタイミングで、どのようなかたちで生前退位への道を開くかということになる。

そこで注目されるのは、保守的な姿勢を強く見せてきた安倍政権や、官邸に強い影響力を持つ保守系の政治団体、さらに保守系識者の今後の言動である。なぜなら、既に彼らからは強い困惑の様子がうかがえるからだ。

今後の3つのシナリオ

これから本格的に議論に入る生前退位には、多くの課題が生じるのは間違いない。まず、どのように制度設計するかという問題がある。すでに確認されているように、現在の皇室典範に退位の規定はない。そのため、今後は3つのシナリオが考えられる。

ひとつが、摂政の解釈を拡大することだ。会見前の段階で、保守派の識者は退位には否定的で、その対案として摂政を置くことを推していた(たとえば百地章「あえて生前退位に反対する」『SAPIO』2016年9月号)。現在の皇室典範16条には、「天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき」という要件があるが、これを拡大解釈して乗り切ろうとするものだ。

しかし、今回の会見で天皇陛下はその可能性を暗に否定した。生涯天皇であれば、深刻な状態となったときに摂政を置いても、「社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶ」ことを懸念されているからだ。これは1988年から89年の1月まで続いた、昭和天皇の病状悪化のことを考えてのことだろう。

次の可能性は、皇室典範の改正だ。これは生前退位の規定を新たに加え、さらに退位した天皇がどのような立場になるかなど、他の条文の改正も必要となってくる。皇室典範の抜本的な見直しが要求されると考えていいだろう。

最後が、特別立法の可能性だ。これは生前退位を恒久的な法にしないことにより、時の政府による強制的な退位などを防止するための策だ。同時に、皇室典範改正よりも労力をかなり抑えることができる。政府は、これを軸に検討を始めたという報道があるが、おそらくそれは間違いないだろう。

「開かれた皇室」への反対論

安倍政権が特別立法を軸とするのは、生前退位を盛り込む皇室典範改正が思想的に相容れない側面もあるからだ。それは安倍政権を支える「真正保守」を自称する政治団体・日本会議にとっても同様だ。

なぜなら、憲法改正を目標とする彼らは、常に大日本帝国憲法が発布された明治時代への復古を望んでいるからだ。明治憲法と同時に作られた皇室典範に対しても、同様に非常に保守的である。

また、皇室典範改正に消極的なもうひとつの理由として、次の天皇になる皇太子さまの存在もある。これには、3年前に生じた「皇太子『退位』論」騒動が少なからず関係しているのかもしれない。

「皇太子『退位』論」とは、宗教学者の山折哲雄氏が『新潮45』2013年3月号で発表した「皇太子殿下、ご退位なさいませ」という論考に端を発したものだ。これは皇太子妃雅子さまの病気による療養が10年目に入ったことを期に書かれており、宮中祭祀に参加できない雅子さまを思うなら皇太子は退位されて、秋篠宮さまへ皇位継承権を譲位されてはどうか、という提案だった。

この山折氏の提案とは、戦後の象徴天皇制下において段階的に進んできた「開かれた皇室」の文脈にある。今上陛下は皇太子時代にテニスを通じて美智子皇后との関係を深められ、1991年の雲仙普賢岳噴火のときに避難所で膝をついてひとびとと語りあい、2011年の東日本大震災のときには直接ビデオメッセージを発した。これらが「開かれた皇室」の代表的な例だろう。もちろん今回の会見もそのひとつだと捉えられる。

昭和天皇時代には見られなかったこの「開かれた皇室」においては、天皇の私的な側面がとくに支持されてきた。ときにそれはゴシップ報道を招くことになるが、それも「親しみやすさ」が強まった反映だ。実際、今上陛下になって以降は、国民の支持がさらに高くなっている(グラフ参照)。

しかし、天皇や皇族の私人としての側面を強めるものとして、この状況に強く反論する論者もいる。天皇の玄孫で保守派の論客のひとりである竹田恒泰さんもそのひとりだ。

古来、日本では「天皇に私なし」と言われてきた。同じ論理で皇族にも「私」はない。現在においても、天皇と皇族は著しく人権が制限されていて、およそ民間人が享受している基本的人権はないに等しい。(略)天皇や皇族は、何かの権利に基づいて「なる」ものではなく、その星の下に生まれた者の宿命として、粛々と「受け入れる」ものである。

そのような天皇や皇族に、民間人同様の人権を享受してもらおうとの考えは、ある種の危険を孕んでいると私は思う。この種の主張は「皇族も国民と同じ」という「平等主義」を前提としていて、ここから派生する「開かれた皇室」「親しみやすい皇室」などという甘い言葉の先にあるのは「皇室の弱体化」、ともすれば「皇室の廃絶」にもなりかねない。

出典:竹田恒泰「皇太子殿下の祈りは本物である──『山折論文』に反論する」『新潮45』2013年4月号
「個人として」「常に国民と共にある自覚」「残される家族」──今回の天皇陛下の会見は、こうした私的な側面、換言すれば「個人」としての思いを前面に出されたものだ。それを見て、二度目の「人間宣言」だと感じたひとも少なくなかったはずだ。その表明は、今上陛下が戦後築かれた「開かれた皇室」の先にあるものだったからだ。しかしそれは、3年前の竹田氏の意見などとは、完全に対立する内容である。

繰り返されてきた改正論議

今回の会見では、陛下が「象徴天皇」を強調したところも印象的だった。「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」とまで言い切った。しかし、皇族の未来には、多くの難題が待ち構えていることもたしかだ。

周知のとおり、現状の男系継承を続けていると、将来的に皇族が激減する。現在、皇族で男子が生まれたのは秋篠宮家のみだ。このままいけば、女性しか生まれていない皇太子家(次期天皇)、そして三笠宮家と高円宮家は、途絶えてしまう。天皇になることが予想される悠仁親王が将来結婚して、もし男の子供ができなければ皇族どころか天皇すら途絶えてしまう。

こうしたなか、この10数年で皇室典範の改正が二度も浮上しては消えていった。小泉政権や野田政権下で生じた女性天皇や女性宮家創設の議論とは、こうした皇族の未来を考えてのものだった。おそらく宮内庁からの要請もあったはずだ。それは未成年の愛子さまをはじめ、三笠宮家と高円宮家の4人の独身皇族女性が結婚しても、皇籍離脱することなくそのまま男性を迎えるアイディアだ。つまり婿養子である。

しかし、これに対し強く反対してきたのは、やはり安倍総理も含む日本会議など保守派の面々だった。2004年から05年にかけての皇室典範改正論議において、安倍総理は官房長官を務めていた。それが中断するきっかけとなったのは、紀子さまのご懐妊が判明したときだ。その記者会見において、安倍官房長官は官僚から渡された「法制化を粛々と進めていきたい」というメモを無視し、独断で「改正論議は凍結する」と答えた(※1)。

さらに二度目の総理になる10ヶ月前の2012年初頭、民主党政権下で野党の一議員だったときには、雑誌に女性宮家に強く反対する原稿を寄せている。

仮に女性宮家を認め、そこに生まれたお子様に皇位継承権を認めた場合、それは「女系」となり、これまでの天皇制の歴史とはまったく異質になってしまうのである。男児が生まれたとしても、それは天皇家の血筋ではなく、女性宮と結婚した男性の血統、ということになるからだ。(略)

私は、皇室の歴史と断絶した「女系天皇」には、明確に反対である。

出典:安倍晋三「安倍晋三 民主党に皇室典範改正は任せられない」『文藝春秋』2012年2月号
女系天皇とともにたびたび議論の俎上に載せられるのは、女性天皇の存在だ。しばしば指摘されるように、女系天皇と女性天皇の議論は異なりながらも、複合的に考える必要がある。そこでは以下の4つの可能性が導かれるからだ。
1.男系・男性天皇(現行)
2.男系・女性天皇
3.女系・男性天皇
4.女系・女性天皇

現行の皇室典範では1しか認められていないが、この2~4までを踏まえて改正を議論しようとするものである。

そこでは保守派の間でも議論は分かれる。安倍総理や日本会議のように、現行の男系・男性天皇しか認めない“厳格派”も多いが、NHKニュースなどにもしばしば登場する法学者の所功氏のように、女性宮家に賛同する“柔軟派”もいる。つまり、保守派の間でも意見が異なっている。

厳格派にも対案がないわけではない。それは、戦後すぐに皇籍離脱した11宮家のうち、現在も存続している6宮家の皇籍復活である。かつて安倍総理も、以下のように具体的に話している。

後継者がなく絶家になったところもあるが、少なくとも賀陽家や東久邇家、竹田家などには男子がいらっしゃる。しかもこの方々は、いずれも父方をたどれば天皇家に連なる、歴とした「男系男子」なのだ。(※2──引用者)

出典:安倍晋三「安倍晋三 民主党に皇室典範改正は任せられない」『文藝春秋』2012年2月号
「民主党に皇室典範改正は任せられない」と言っているように、安倍総理も本来的には改正議論が必要だと考えていた。実際、皇室典範改正についてチームが存在することを菅官房長官は認めた。おそらくそれは旧宮家の皇籍復活案である。しかし、生前退位についてはまったくの想定外だったはずだ。

保守派に不都合な「おことば」

過去三代の天皇とは異なる今上陛下の姿勢については、保守派はある程度は承知していたことは間違いない。なぜなら、過去にも独自の姿勢は見られていたからだ。たとえば、7年前の結婚50年の記者会見では以下のように話されている。

象徴とはどうあるべきかということはいつも私の念頭を離れず、その望ましい在り方を求めて今日に至っています。なお大日本帝国憲法下の天皇の在り方と日本国憲法下の天皇の在り方を比べれば、日本国憲法下の天皇の在り方の方が天皇の長い歴史で見た場合、伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います。

出典:宮内庁「天皇皇后両陛下御結婚満50年に際して」(2009年4月8日)
今回の天皇陛下の「おことば」も、こうした姿勢の延長線上にある。これまで以上に象徴天皇であることが強調され、そもそもあのような国民に向けて会見をすることが異例だった。これまでのことを考えると、保守派はかなり困惑していると推測できる。明治時代への回帰を期待する彼らには、非常に不都合なものであるのは間違いない。

今後のシナリオとしては、官邸が有識者会議を設置し、それを受けて来年から国会で審議入りする流れが予想される。

このとき注目されるのは、まずこの有識者会議のメンバーに誰が選ばれるのかということだ。女性天皇および女性宮家創設を検討した2004~05年の有識者会議に対して、安倍総理はその人選について強い不満を見せていた(※3)。

また、第3次安倍再改造内閣の閣僚のうち、75%が所属する日本会議の対応も注目される。今回の天皇陛下の会見前には『週刊文春』で「天皇生前退位に『日本会議』が猛反発」と報じられたが、いまのところ組織としてはそれを否定している。

なお、日本会議は「確証ある情報を得た時点で、改めて本会としての見解を表明することを検討する」としているので(※4)、おそらく近日中にはなんらかの声明が出されるはずだ。

一方、国民にもさらなる議論が必要とされるだろう。「国民統合の象徴」とは、換言すれば「民主主義国家の象徴」だ。つまり、生前退位だけではなく、今後の天皇制について幅広い視野で議論していく民主主義的手続きこそが、天皇の象徴性を強く意味するのである。


※1……安倍晋三「安倍晋三 民主党に皇室典範改正は任せられない」『文藝春秋』2012年2月号。

※2……この竹田家の男子とは、前出の竹田恒泰氏のことである。

※3……安倍晋三同前。

※4……日本会議ホームページ「いわゆる『生前退位』問題に関する日本会議の立場について」(2016年8月4日)。
  


Posted by いざぁりん  at 00:19
昨日、午後6時前。
結果的にアートと解するべきか、景観破壊と解するべきか。
1本だけ交差、他は並行。
以下は、イメージ。
https://www.youtube.com/watch?v=kLIhx9M8r9g
https://www.youtube.com/watch?v=PE61X-kYoWI  


Posted by いざぁりん  at 00:18