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2015/3/27 の記事です。
http://dot.asahi.com/wa/2015032600125.html?page=1
(以下は、コピーです)
ゾンビ法案がまたもよみがえった。これまで2度廃案になった労働者派遣法改正案が、今国会で提出となった。派遣労働を大幅に自由化する内容に、野党は「正社員ゼロ法案」と批判している。

 それでも、安倍政権が短期間に3度目の提出を強行したのには理由がある。民主党政権時代の12年の派遣法改正で、違法な派遣が行われている場合、強制的に派遣先の正社員にさせる「労働契約申し込みみなし制度」が導入されたためだ。

 派遣法に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士は言う。

「みなし制度は、企業に与える影響が大きいとして、3年間の猶予期間が与えられました。それが今年10月に施行されます。そうなれば、期間制限違反など違法な派遣がなされている場合、派遣労働者は派遣先の会社に正社員への雇用を求めることができます。10月以降は派遣先の企業へ団体交渉の申し入れや訴訟が相次ぐ可能性もある」

 みなし制度はすでに韓国で導入された。昨年9月には現代自動車の下請け労働者が千人以上で集団訴訟をおこし、勝訴した。

「使用者側は、紛争の多発を避けたい。そこで『違法派遣』とされやすい26分野の専門業務を撤廃し、みなし制度を骨抜きにしたい。特に『事務用機器操作』や『ファイリング』などは、どこまでが専門的な業務なのか線引きがあいまいで、みなし制度の対象になりやすい。法改正で違法な派遣労働を合法化してしまいたいのです」(棗弁護士)

 今回の改正案は、みなし制度が始まる1カ月前の9月施行が明記されている。ただ、法案の先行きは不透明だ。民主党の厚生労働部門会議座長の山井和則衆院議員は言う。

「みなし制度の対象となる派遣労働者の基準をはっきりさせるため、厚労省の労働政策審議会がガイドラインを作ることになっている。日程としては、施行半年前の4月には内容がまとまっていないといけない。なのに、議論すら始まっていません。法案審議にも影響が出るでしょう」

 ガイドラインを議論する労政審は、労働者代表と経営者による使用者代表、中立・公平の立場から参加する公益代表の3者で構成される。山井議員は続ける。

「労政審には、使用者代表が参加しているので、直接雇用を認める訴訟が相次ぐような厳しいガイドラインができるとは考えにくい。一方、企業や派遣会社が有利になる緩いガイドラインができれば『法改正の必要はない』となる。3度目の廃案もありえます」

 厚労省が13年3月に発表した調査によると、派遣労働者の60.7%が「正社員として働きたい」と希望している。さらに、派遣会社に無期雇用してほしいという人も19.2%いて、あわせて約8割の人が不安定な有期雇用から脱したいと回答している。

 改正案が3度目の廃案になれば、派遣社員でもみなし制度で念願の正社員になれるかもしれない。安倍首相は、法改正で「正社員への道が開かれる」と言うが、その目的を達成するには、法案をこのまま闇に葬ったほうがいいのではないか。



Posted by いざぁりん  at 00:04