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こちらです。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1Y5RC5J1YULFA03Y.html?rm=545
(以下は、コピーです)
 雇用を守るための公的なお金が、その趣旨とは裏腹に、人材会社のビジネスの道具になっていた。厳しい競争にさらされ「効率化」を追い求める企業。そして、過酷な雇用環境に追い込まれている働く人。その実態の一端が朝日新聞が入手した内部資料と取材で浮かび上がった。

リストラ誘発しかねない再就職助成金 支給要件厳格化へ

 昨年6月、製紙大手の王子ホールディングス(HD)の子会社で働く50代の男性は、会議室に呼び出された。2人の上司から「転職支援制度を受けてほしい」と切り出され、再就職支援の案内を渡された。

 その後も面談があり、上司は「会社にはいられない。今の給料が変わる可能性がある」。男性は賃下げと受け止めた。7月、上司は「会社に籍を置いたまま、人材会社へ行って転職先を探してください」と通告した。男性は断れないと思い、退職に合意。現在、人材会社で転職先を探している。ただ、提案されるのは給料がこれまでの半分程度の仕事ばかりだ。

 働き方改革の一貫として従来にはない雇用調整の手段として希望退職および退職勧奨を積極的に実施――。王子HDの内部資料には、こう記されていた。男性の2015年3月時点の評価は低評価の「D」。リストアップされた人は、「D」や最低の「E」ばかりだ。こうした人は「ローパフォーマー(ローパー)」とされ、退職勧奨の対象となった。

 王子HDによると、この退職勧奨で7月末までに辞めた二十数人分として、労働移動支援助成金を二百数十万円受け取った。王子HDは「業績の悪化で人員削減に取り組んだ。グループ内で活躍や能力発揮を期待することが難しいと判断した従業員に対し、新しい環境への転進を支援することが双方にとって最善の選択肢と判断した」とする。子会社は2年連続の赤字。一方、王子HDは黒字を確保し、16年3月期も前年比44%増の250億円の純利益を予想している。

 「(会社に残った場合)年収は300万円前後。そこまで下がっていくことだよ。底辺まで下げますよ」

 昨年11月、退職勧奨を受けた王子グループの男性は上司からそう迫られ、人材会社で仕事を探すよう指示された。「理不尽な理由で何回も繰り返し面談を受けた。孤立し、怒りで精神的に追い詰められた」。王子HDは11月の退職勧奨は、助成金を申請していない。

■人材会社がノウハウ

 かつて複数の大企業で明らかになった「追い出し部屋」。多忙な他部署への「応援」や自らの転職・出向先探しを仕事とし、従業員を退職させるためのこうした部署は消えつつある。この手法を違法とする裁判例もある。

 だが、代わって出てきたのは、個別に低評価の社員を呼び出して退職を促すやり方だ。今回、王子HDの退職勧奨を支援し、再就職支援業務を受託した大手人材会社テンプHDの子会社は「リストアップ方式」と呼ぶ。

 社内外に非公表で進めるため、対象者が誰か分からず、社員同士で団結できない。誰にも相談できずに孤立するため、精神的に追い込まれるのが特徴だ。

 テンプが作った「貴社人員適正化施策実施のご提案――戦力入れ替えのお勧め」と題された資料は、「ローパー」の判定基準としてチェックリストを提示している。また昨年、面談に臨む王子HDの幹部社員を対象に、「厳秘」と記された研修資料を示して、法律に触れない退職勧奨の方法を伝授した。

 テンプの関与はあくまで無料の「事前コンサルティング」だ。従業員の退職後の再就職支援でもうける仕組みになっている。資料には15年3月までの3年間実績で、大手企業など7社、計272人から退職の同意を得たとの記載がある。こうしたビジネスは広がっているとみられる。

 テンプの提案資料には「公的助成金受給指導」といった記載もある。ただテンプは「助成金の活用をこちらから勧めることはない。助成金は企業がハローワークと相談して活用を決めるものだ」とする。



Posted by いざぁりん  at 00:18