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こちらです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kodamakatsuya/20170424-00070254/
(以下は、コピーです)
北朝鮮とアメリカとのチキンゲームが激しさを増している。

すでにアメリカはアメリカ原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群を朝鮮半島近海に向かわせている。「カール・ビンソン」は巨大原子力空母で、全長333メートル・艦載機約90機を擁する。世界でもトップクラスの戦力を持つ空母である。自衛隊も準備を始めている。アメリカの空母を中心とする艦隊が朝鮮半島の周辺海域に向けて航行しているのに合わせて、海上自衛隊の護衛艦2隻は、アメリカの空母と合流して共同訓練を行った。臨戦態勢に入りつつある。カール・ビンソンだけでは有事には不十分だという声もあるが、すでに原子力空母ロナルド・レーガンは米海軍横須賀基地に停泊中だ。カール・ビンソンとロナルド・レーガンの二つの空母で、攻撃と在韓外国人の輸送の役割を分けるとみられる。有事の時には在韓米国人、在韓日本人などの救出も行わなければならない。その体制が整いつつあることになる。かなり本気モードに入りつつある。空母2艦を脅しだけの見せかけと切り捨てることはできない。狙うは北朝鮮軍事基地の総攻撃と金正恩氏の殺害だ。

北朝鮮はハッタリでは負けていはいない。BBCニュース(4月22日付)は「北朝鮮は国営メディアを通じて、朝鮮半島に向かっている米空母を『沈める用意がある』と主張した」ことを伝えている。北朝鮮の危険なハッタリだ。これまでハッタリでも米国も近隣国も北朝鮮に武力行使はしなかったので、まだハッタリが利くと思っているのだろう。ソウルを狙うというのであれば現実味があり威嚇になるが、世界最強の米軍に歯向かうのは無謀だ。あまりに軍事力に差がありすぎる。米空母カール・ビンソンには防衛用の空対空ミサイル「シースパロー」や近接防衛ミサイル等が搭載されている。何よりも北朝鮮が米空母を攻撃対象にしたら、トランプ大統領は北朝鮮軍事基地総攻撃をするだろう。金正恩氏は米朝の軍事力の差をどれだけ認識しているのかよく分からない。北朝鮮がこうしたハッタリを続けると、米空母が接近したら虚勢の中で本当にミサイル発射をするかもしれない。また米大統領はあのトランプ氏だ。こうしたハッタリを余裕で受け止めず、本気で北朝鮮に対ってくる可能性もある。これまで最悪の事態を想定して躊躇してきた一線を超えてしまうかもしれない。ハッタリがハッタリでなくなったら地獄だ。

このような危険な状態の中で中国はどのように行動するのだろうか。

中国は基本的には何も起きて欲しくない。危険な朝鮮半島情勢のリスクを犯すよりも、北朝鮮の核開発をストップさせ、有事の事態はなんとしても避けたい。習近平氏も金正恩氏には手を焼いている。以前は中国は基本的に北朝鮮の保護国的役割を担い、ほぼ制御できる状態であった。しかし金正恩氏は中国の忠告を無視して核開発など挑発行為を始めた。中国にとって、北朝鮮が核兵器と高性能ミサイルの開発をするのは嫌なことだ。北朝鮮は核開発やミサイル発射への中国の警告を無視してきた。トランプ大統領は非常に狡猾に中国に北朝鮮の制御を委託して実行できなければ米国が武力を使ってもいい、という構図を作り出した。中国が北朝鮮を制御できないのは中国の責任として米国は堂々と北朝鮮攻撃戦略を取ることを可能にしている。中国は経験から金正恩氏の挑発を止めることができないと危惧しており、朝鮮半島が混乱し秩序が崩壊されることを恐れている。習近平氏は北朝鮮有事の際には中国の武力行使を示唆している。中国は米国の武力行使はなんとしても止めたい。米中電話首脳会談の具体的な内容はよく分からないが、韓国大統領選の結果を待つ、にとりあえず落ち着いているのではないか。

しかし、トランプ大統領と金正恩氏とのチキンゲームはどのように展開するか読めない。アメリカの脅しに北朝鮮のハッタリは、韓国大統領選を睨みながら、有事の事態に発展する可能性がある。その時、中国はどうするのか。

産経ニュース(4月22日付)は、「中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は22日付の社説で、『中国は武力によって朝鮮半島の現状を変えることには反対する』と強調、米韓両軍が北朝鮮に軍事進攻した場合は中国も軍事介入すべきだと主張した」ことを伝えている。中国も軍事介入するということはどういうことなのか、明確ではない。

四つのシナリオがある。

1)アメリカが軍事攻撃をすることが明らかになった時点で、攻撃の前に中国が北朝鮮を制圧し、傀儡政権を築くシナリオ。

2)次には、アメリカが北朝鮮の軍事基地を爆撃したら、アメリカ軍が入る前に、すぐに北朝鮮に攻め入り、中国主導の傀儡政権を樹立するというシナリオ。

3)アメリカが北朝鮮に攻撃し、さらに侵攻してくるなら、アメリカに対して立ち向かうというシナリオ。

第3のシナリオは大戦争、ロシアも関われば第三次世界大戦にも発展するような危険なシナリオだ。中国はアメリカの軍事力は十分に知っている。これはなんとしても避けるシナリオだ。

最も可能性があるのが、第1と第2のシナリオだろう。第1のシナリオだと軍事行動の口火を中国が最初に開くことになり、中国は批判の矢面に立たされるかもしれないが、中国主導の傀儡政権樹立のレジティマシーを得ることになる。朝鮮半島は中国のもの、という歴史観があり、アメリカに先を越されたくないという感覚はあるだろう。

第2のシナリオは北朝鮮の軍事基地の空爆だけアメリカに任せて、結局は中国が北朝鮮をとるという中国からすればいい案だ。トランプ大統領にしてみれば不満が残るかもしれないが、トランプ大統領が中国と対立するリスクを冒すほど北朝鮮の覇権に興味を持っているかどうか怪しい。中国がしっかりと非核の北朝鮮を作るのならそれでいい、と判断するかもしれない。その代わり、韓国はアメリカが覇権を持つ国だということを明確にすることになるだろう。

4)第2のシナリオの変形で、米中が協働して、金正恩亡命を容認し、平和裏に中国主導の傀儡政権を作るというシナリオ。

これが最も安全なパターンだ。無血の解決策と言えるかもしれない。

とにかく朝鮮半島有事は、日本を含め東アジアに大きな打撃を与える。日本でも犠牲者が出るかもしれない。経済は大打撃を受けるだろう。いかにこの有事の危機を避け、問題を解決に向かわせることができるか。関連諸国の知恵が求められている。

児玉克哉
一般社団法人社会貢献推進国際機構・理事長
国際平和研究学会(IPRA)事務局長、トルコ・サカリヤ大学客員教授、パキスタン・マリル科学技術大学特別教授、ネパール・トリブバン大学客員教授、日本大学法律経済研究所研究員、CSRジャーナル編集長。三重大学副学長・教授、国際社会科学評議会(ISSC)副会長を歴任し現職。専門は地域社会学、国際社会論、政治社会学など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム理事・事務局長を務めている。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し国際活動や地域創生活動を行っている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。



Posted by いざぁりん  at 01:28