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改憲は、してはなりません。
http://digital.asahi.com/articles/ASK535J6KK53UTFK006.html?rm=1426
(以下は、コピーです)
 安倍晋三首相(自民党総裁)が5月3日の憲法記念日に、憲法改正で新たな目標に踏み込んだ。憲法に規定がない自衛隊の条文を9条に盛り込み、2020年に改正憲法の施行を目指す方針を明言。衆参各院で3分の2を占める「改憲勢力」を背景に、議論を加速させる思惑が前面に出てきた形だ。

首相「9条に自衛隊明記」 改憲2020年施行目標に
憲法を考える

 「憲法改正は、自民党結党者の悲願だ」。3日、東京・永田町の砂防会館。運動団体「日本会議」が主導する憲法改正派の大会に寄せたビデオメッセージで、首相はこう切り出した。

 最近は憲法改正で具体的な発言を控えていた首相だが、1日に録画したこのメッセージでは姿勢を一変。長く改憲論議の核心となってきた9条について、「自衛隊を明文で書き込むという考え方は、国民的な議論に値する」と言い切った。20年に「新しい憲法」の施行を目指すとも明言。18年9月の自民党総裁選で3選されることを前提に、憲法改正に突き進む姿勢を明確にした。

 首相は昨夏の参院選で大勝し、衆参各院で改憲に積極的な勢力が国会発議に必要な3分の2を上回ってから、慎重に改憲シナリオを検討してきた。首相側近は昨秋、首相の持論だった戦力不保持を定める9条2項の改正は封印し、3項を追加して自衛隊を明記する案を友党・公明党の幹部に伝え、感触を探った。首相自身も今年に入り、周辺に「9条に3項をつけて、自衛隊の合憲を明文化したい。じっくり取り組みたい」と語っていた。

 今回の憲法改正の方針表明に向け、首相は事前にメディアにも対策を打った。4月24日夜、都内の料理店で、憲法改正試案を紙上で発表している読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社主筆と食事。その2日後に東日本大震災をめぐる問題発言をした今村雅弘・前復興相を更迭した直後、同紙のインタビューを受けている。

 読売新聞は5月3日付朝刊で、首相のインタビューを1面トップで掲載。「憲法改正 20年施行目標 9条に自衛隊明記」として、ビデオメッセージと同様の内容を報じた。

 「いよいよ憲法に具体的に取り組む時期になってきたということだ」。首相官邸幹部は首相メッセージについて、こう解説する。背景にあるのは、3分の2勢力があるうちに発議の環境を整えるためには、いまから改憲項目を絞り込まねばならないとの判断だ。北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、東アジアの安全保障環境は緊迫しており、9条に自衛隊を明文化しても、反発は少ないとの計算も働いた。

 首相が現段階で描く発議とその後の国民投票のタイミングは、自民党総裁選で3選し、21年9月までの任期を確保することを前提に考えている。

 最速のシナリオは、来夏ごろの発議だ。国民投票法は、発議後60~180日の間に国民投票を実施すると定める。首相が総裁3選後、18年12月の衆院任期満了を目前にした秋から冬にかけて衆院を解散。国民投票と衆院選を同日に行う案だ。現状の改憲勢力に基づいて発議を急ぐやり方だ。

 その次は、19年前半の発議、同夏の参院選と同時の国民投票だ。次の衆院選で発議に向けて再び3分の2勢力を確保しなければならないが、国会の憲法審査会などで与野党の議論に一定の時間はかけられる。

 最後は衆参両院選挙で勝利したうえで、20年に発議し、国民投票を行う筋書きだ。与野党が争う国政選挙に憲法改正を絡めず、単独で国民の判断を仰ぐことを重視する。首相周辺は「21年までの任期をにらんで憲法改正をやり遂げたい。それが首相の思いだ」と語る。

■自民にも賛否、険しい道

 アクセルを踏んだ首相発言に対し、足元の自民党では、二階俊博幹事長が訪問先の米国・ハワイで記者団に「積極的に支持、協力していくことは当然」と明言した。ただ、党内は賛成一色ではない。民進党との協調路線の方が近道との考えからの戸惑いに加え、3項を加えることへの異論もある。

 憲法審査会の前身である衆院憲法調査会当時から憲法議論に中心的に関わってきた保岡興治・党憲法改正推進本部長は先月19日、民進党の枝野幸男前幹事長らと都内で会食。両党の衆院憲法審査会の主要メンバーも顔をそろえた。この場で、落ち着いた環境での議論をめざし、両党の協調路線を維持することで一致したばかりだった。

 保岡氏は、野党第1党の民進党を巻き込んだ憲法改正が基本路線。野党にも配慮しながら首相の「介入」を防ぎ、3分の2という「伝家の宝刀」を首相に抜かせないことを示していく必要があると考えている。衆院の憲法審査会は、一票の格差や緊急時に国会議員の任期を延長する緊急事態条項の新設といった「参政権の保障」などをテーマに通常国会で実質審議を3回行ったが、改憲項目の絞り込みの議論には着手していない。憲法審幹事の一人は「事前に首相が決めて議論が進むってもんじゃない」と不快感を示す。

 改正内容でまとまるかも見通せない。岸田文雄外相は15年、自身の派閥研修会で「当面、憲法9条は改正することを考えない」と明言している。石破茂・元防衛相も9条3項を加える改正には否定的で、3日のBSフジの番組では首相発言について「今までの自民党の議論の積み重ねにはなかった。自民党の議論は何だったのか」と語った。

 野党時代の12年に自民が発表した「憲法改正草案」は、「国防軍の保持」など9条を全面的に書き換える内容で、首相発言は草案との整合性という意味でも問われる。ある閣僚経験者は交戦権を否認し、戦力の不保持をうたう現行の条文と「整合性が全くとれない」と指摘。来年9月に予定される党総裁選でも「最大の論点になる」と語る。

 「加憲」を主張してきた公明党。改憲派の集会に出席した遠山清彦・党憲法調査会事務局長は記者団に「議論の余地は大いにある」と歓迎するものの、改憲に慎重発言を続ける山口那津男代表は都内での街頭演説で「国会だけで突っ走ってもダメだ」とこの日もクギを刺した。

 憲法改正で教育無償化を掲げる日本維新の会の遠藤敬国対委員長が朝日新聞の取材に「ようやく一歩踏み込んで頂いた」と首相発言を評価したが、他の野党は一斉に反発している。

 民進党の蓮舫代表は記者団に「首相が『憲法を変える』『テーマはこれだ』ということ自体、立憲主義に反している」と指摘した。

 改憲をめぐり代表代行を辞任したばかりの細野豪志氏がフェイスブックで首相発言を評価するなど党内が反対で一致できるか不透明な要素はあるものの、蓮舫氏は3日付で発表した談話で「来たる衆院選は、誤った方向への改憲を目指す安倍政権の暴走を止める機会」と表明。共産党の志位和夫委員長も「年限を含めて9条改憲と表明したのは、極めて重大だ。絶対に許さない」と批判するなど、共産、自由、社民の幹部は「衆院選の争点になる」としており、衆院選を意識した与野党対立の激化は避けられない見通しだ。

 総裁選と衆院選の「争点」を生みかねない安倍首相の発信。憲法審査会の与党幹事はこんな見方を示す。「数の力で押し切るようなめちゃくちゃな状態で国民投票に突っ込んだら、はじき返されるだけ。『憲法改正に失敗した首相』と言われることになる」



Posted by いざぁりん  at 07:07