京つう

イベント  |伏見区

新規登録ログインヘルプ



こちらです。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11785706.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11785706
(以下は、コピーです)
 行政改革や司法改革など近年の「この国のかたち」作りに関わってきた憲法学者、佐藤幸治・京大名誉教授(77)が政治のあり方を憂慮している。「遺言のつもりで書いた」と4月末に出版した新著で、権力の乱用を防ぎ人間の尊厳を守ろうとする立憲主義は、人類が長い歴史をかけて確立してきた英知だと強調する。その思いを聞いた。


 1945年8月15日、佐藤さんは8歳。父の隣で正座して玉音放送を聞き、終戦を知った。

 天皇主権下で欧米的立憲主義を採り入れた明治憲法。大正デモクラシーの短い時期を経て、戦争の時代へと突き進み、国内外に未曽有の犠牲をもたらした。

 「大正デモクラシーがなぜこんなに簡単に崩壊し、軍国主義・全体主義になってしまったのか」

 敗戦直後の混乱。世界情勢を十分につかめず、日本政府関係者は明治憲法のごく部分的な手直しですむと考えた。結果、連合国軍総司令部(GHQ)から国民主権などを盛り込んだ草案を手渡されることに。そのことが後に「押しつけ憲法」という批判を生む。

 「しかし、国連憲章には『基本的人権と人間の尊厳及び価値』がうたわれ、ポツダム宣言は日本に『基本的人権の尊重』を強く求めていた。悲劇を深く受け止め世界情勢を的確につかめていれば、自分たちの手で日本国憲法に近いものを作れたかもしれない」

 佐藤さんによると、現代の憲法(立憲主義)の特質の一つは、政治の行き過ぎから人権を守るために憲法裁判制度を導入したところにある。根底にあるのは政治部門(議会・内閣)が憲法の趣旨にかなうよう活動することへの強い期待だ。

 「議会は、国民の表現の自由に基礎を置く『公開討論の場』の中心。政策の是非に関する様々な意見とその根拠を国民に明らかにする重い責任を負っている」

 気がかりなことがある。憲法9条の下で集団的自衛権は行使できないとする長年の政府解釈を変更した昨年7月の閣議決定、今国会成立を目指すとされる安保法制をめぐる動きだ。

 佐藤さんは言う。「政府がずっと許されないとしてきたことを許されるとするなら、それにふさわしい慎重な手順と説得的な説明が必要だ」

 だが、首相は国会答弁で、「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」と断言する。

 「丁寧な審議を通じて事柄の内容と問題点を国民に明らかにしないままに突き進むとすれば、日本の議会制・立憲主義の将来にどのような結果をもたらすか大変心配している」

 佐藤さんは新著「立憲主義について 成立過程と現代」(左右社)にこう記している。

 〈われわれは、立憲主義を侮蔑し、「力」への信仰に走った国々によってあの第二次世界大戦という未曽有の悲劇が引き起こされたことを決して忘れてはならない〉

      ◇

 シンポジウム「立憲主義の危機」が6日午後6時から東京・本郷の東京大法文1号館25番教室で開かれ、佐藤さんが「世界史の中の日本国憲法 立憲主義の史的展開をふまえて」と題して講演する。主催は立憲デモクラシーの会(constitutionaldemocracy2014@gmail.com)。無料。事前予約不要。開場は午後5時30分の予定。(編集委員・豊秀一)

      *

 さとう・こうじ 37年6月生まれ、京大法卒。京大名誉教授。専攻は憲法。行政改革会議のメンバー。司法制度改革審議会では会長として意見書を取りまとめた。



Posted by いざぁりん  at 00:32