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こちらです。
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 夏の甲子園出場をかけて186校が争う高校野球の神奈川県大会が11日に開幕する。横浜や桐光学園、東海大相模など、数多くのプロ野球選手を輩出してきた私立校が群雄割拠する全国有数の激戦区に、今年は大きな異変が起きている。

 第1シードを獲得した4校の一角に名前を連ねているのは県立相模原。地元では「県相(ケンソウ)」の愛称で知られる、偏差値65の進学校は昨年夏のベスト8、同秋のベスト4、そして春の準優勝と創部以来初の関東大会出場と着実にステップアップしてきた。

 グラウンドは陸上部と共用で、全体での朝練は原則禁止。午後7時半には完全下校となる文武両道の校訓のもとで成し遂げられた躍進は、体育教諭の佐相眞澄監督が赴任した2012年度から幕を開けた。
 打ち勝つ野球を掲げ、相模原市内の公立中学を計3度も全国大会出場に導いた実績をもつ56歳の佐相監督は「打撃の伝道師」として知られ、理論と指導ノウハウをまとめたDVDも発売されている。

 2005年度からは県立川崎北で高校野球への挑戦を開始。打力を前面に押し出す野球で夏ベスト8などの実績を残した後に、5歳から育ち、指導者としてのスタートも切った相模原市へ「恩を返したい」と希望して県相へ異動してきた。

 標榜するスタイルは、いま現在も変わらない。

「私学に打ち勝たなければ、甲子園には行けません」

 65人を数える現在の部員は中学在学中に佐相監督の赴任や県相の躍進を知り、同監督の指導を望んで県内の遠隔地から入学してきた生徒が多い。もっとも、県内有数の進学校への入試という高く険しい壁の前に、決して少なくはない数の中学生が入学を果たせなかったという。
 中学時代に佐相監督のもとで全国大会に出場し、桐光学園が甲子園に初出場したときのエースだった清原尚志コーチが言う。

「攻走守の3拍子が揃った選手が、入学時では少ないのが残念ながら現実ですね」

 私立の強豪校とは異なる状況のもとで、佐相監督は新入生に対してまず高目のレベルスイングを徹底指導する。低いネットを横に置き、上の縁に沿ってひたすらスイングさせることで軌道を体に覚え込ませる。

「高目の胸のあたりのストレートは失投ですから、それを打てるようにならないと私学には打ち勝てない。中学生はローボールヒッターが多く、逆に高目の速いボールが苦手なんですね。ポイントは振り出すときに両ひじが下を向いていること。そうしないとバットのヘッドが立たないので」

 同時進行で座右の銘としている「環境は人が作る。その環境が人を作る」を、時間をかけながら実践してきた。たとえばフリー打撃。陸上部などとの関係でグラウンド全面を使えない状況下で、佐相監督はバックネットに向かって打ち込ませている。

 隣接している民家へ打球が飛び込むのを防止するための防御ネットを二重にして、バッティングケージを4つ並べ、ピッチングマシンも2台購入した。当然お金がかかるが、学校側の支援も限界がある。佐相監督は赴任直後から保護者やOB会との絆を密にして、全面的な協力を得てきた。

「防御ネットは保護者の方々がいろいろなところから集めてきたものを編み込んでいただき、大きな形にしてもらいました。保護者会やOB会とはコミュニケーションというか、“飲みにケーション”でやっています(笑)」

 打者との距離は約8m。あえて緩いボールを投げて、ミートポイントを捕手寄りに設定したうえでセンターから逆方向を狙わせるメニューを織り交ぜた。その意図を佐相監督はこう説明する。

「前目のポイントで打つと、スライダーなどの速い変化球を拾えなくなる。8mバッティングで打ち損じをなくす癖をつけるわけです」

 ナイター照明の設置。ぬかるまない土への入れ替え。屋根付きブルペンの設営。次第に整っていく練習環境と、野球部に振り分けられたエリアを打撃、守備、体力練習などのソーンに分けて、限られた時間のなかで効率よく練習させる佐相監督の創意工夫が成績を向上させていく。同監督のネットワークで、前橋育英(群馬)や愛工大明電(愛知)との練習試合も組まれてきた。

 ティー打撃では左右にネットを配置し、ネットの間からトスされたボールをコースに応じて打ち分ける感覚を養わせてきた。春季県大会決勝で東海大相模に打ち負け、関東大会初戦で川越東にコールド負けした反省から、さらに工夫が加えられた。

「まず1.2kgくらいの重いバットで振る力をつけておいて、通常の軽いバットで思い切り振らせる。速い動きで筋肉を刺激して、速いスイングスピードを教え込ませるんです」

 中軸を任される金子圭希内野手(3年・右投げ左打ち)は春季大会で3本塁打を放つなど、佐相監督の指導で「打撃が根本から変わった」と声を弾ませる。

「自分は軟式出身で、硬式のポイントを先生のアドバイスで探しながら、いつもメモに書き留めて自分のものにしてきました。下半身と上半身が連動したときに一番飛ぶようになりました」

 バットを振るための体力作りにも余念がない。たとえば『ポリタンク』と呼ばれるメニュー。18リットルのポリタンクに水を入れて抱えながら、三塁側ベンチの後方にある斜度5度のスロープを登り降りする練習が一日おきに課されている。

 昼休みには女子マネージャーがご飯を炊き、持参する弁当のほかに2合、練習後にも1合を胃袋に詰め込む。キャプテンの井口史哉内野手(3年・右投げ左打ち)は、最初の1年で「体重が12kg増えました」と振り返る。

「ポリタンクの練習は下半身と体幹だけが鍛えられるだけでなく、腕力もついたと思います」

 大学進学率がほぼ100%。3年生の多くは練習後に学習塾に通っている。140キロ前半の直球とキレ味鋭いスライダーを、コントロールよく投げ分けるエースの宮崎晃亮(3年・右投げ右打ち)は東大文3が志望。東京六大学で神宮球場のマウンドに立つ夢を描く。

「両立は大変ですけど、野球も勉強もどちらもしっかりとできているからこそ充実しています」

 順当ならば4回戦で対戦するノーシードの横浜が、最初の関門になる。

「まともにやったら勝てない。ランナーが出てもエンドランを仕掛けるとか、三塁に進んでもスクイズしないとか。打力は春よりも確実性が上がっている。この子たちのすごいところは心の強さ。ダメかもしれないと思いませんからね」

 9試合で103得点をあげた春季大会よりも、さらに磨きをかけたバッティングで旋風を巻き起こす。1951年の希望ヶ丘以来となる県立校代表へ、佐相監督は静かに腕をぶしている。



Posted by いざぁりん  at 01:44