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こちらです。
http://mainichi.jp/feature/news/20150708mog00m010007000c.html
(以下は、コピーです)
この数週間、報道各社の世論調査が相次いだ。質問の仕方などによって数値にばらつきはあるものの、共通しているのは安倍内閣の支持率が下がり、不支持率と拮抗(きっこう)する傾向だ。毎日新聞が4、5日に実施した全国世論調査では支持率が42%、不支持率が43%となり、第2次安倍内閣発足後、初めて支持・不支持が逆転した。1ポイントの差は統計学的には誤差の範囲内で、正確には「支持率と不支持率が拮抗」と書くべきだが、数値上初めて不支持率が上回ったインパクトを6日の朝刊で記事化した。【世論調査室長・平田崇浩】

 ◇内閣支持 なおも4割超

 民主党など野党は「政局の潮目が変わった」と喜ぶが、なおも4割を超える内閣支持層の多くは一貫して安倍政権を支えてきた岩盤層。自民党の政党支持率31%は民主党の7%を大きく引き離したままだ。それでも、今回の調査結果には安倍政権にとっての不安材料が目につく。それは、これまで政権を支持してきたわけではないが、かといって嫌っていたわけでもない中間層が「反安倍」にシフトする傾向が鮮明になったことだ。

 毎日新聞の内閣支持率の質問は三択。「支持する」「支持しない」「関心がない」の中から回答を選んでもらう。「支持する」「支持しない」の二択で質問する他紙と比べ、支持率、不支持率ともに低く出る傾向がある。安倍内閣に「関心がない」との回答は、これまで多少の増減はあるものの、ほぼ2割弱で一定していた。ところが、3月調査で19%だった無関心層が4月調査では17%、5月は15%、今回は13%と漸減傾向に転じた。これは安全保障関連法案を巡る与党協議や国会論戦が本格化した時期と重なる。

 この調査結果からは、これまで政治に無関心だった人たちの一部が安保法案への反発から内閣不支持層に移行したという仮説が成り立つ。これを裏付けるのが、世論調査における安保法案への賛否と内閣支持との関係だ。

 今回の調査では、9月27日まで延長した通常国会で安保法案を成立させる政府・与党方針への賛否も聞いた。延長国会での成立には全体の28%が賛成、61%が反対しているが、内閣支持層では56%が賛成し、不支持層では91%が反対という結果が出た。このことは、安保法案への賛否と内閣への支持・不支持が回答者の多くで密接にリンクしていることをうかがわせる。安保法案への反対が増えるにつれ、これまでは安保法案と政権への評価を関連づけていなかった人々が、安倍政権を忌避する方向へ流れていると言えそうだ。

 読売新聞が7月3〜5日に実施した世論調査の結果にも、同様の傾向が表れている。6日の読売朝刊によると、内閣支持率は6月調査比4ポイント減の49%、不支持率は4ポイント増の40%。読売の内閣支持率は一貫して毎日より数ポイント高い傾向にあるが、それは「支持する」「支持しない」の二択で質問し、さらに、支持・不支持を明確にしない回答者には「どちらかと言えば」と重ねて聞いているためとみられる。








 ◇政権の浮沈に直結 無関心層の動向

 「重ね聞き」した内閣支持率の調査結果には、もう一つの特徴がある。最初の質問で支持・不支持のどちらも選ばなかった人たちの多くは、毎日新聞の調査を受けたなら「関心がない」を選ぶであろう無関心層だ。あえて重ね聞きされれば、政権に勢いがあるときは内閣支持へ、政権の人気が落ち目のときは不支持へと流れる傾向がある。そのため、重ね聞きする調査の方が支持率の増減が激しく、政局の潮目が表れやすいとされる。

 読売の調査で支持・不支持が逆転しなかったのは、毎日の調査であれば「関心がない」と答えたであろう人たちのうち、重ね聞きに「どちらかと言えば支持」と答えた人が「どちらかと言えば不支持」より多かったことが推測できる。この無関心層の動向が今後の安倍政権の浮沈に直結すると見られる。

 毎日新聞の調査で安倍内閣に「関心がない」と答えた層の内訳を見ると、安保法案の延長国会での成立には賛成15%・反対51%。今後、安保法案への賛否と政権評価がリンクする傾向が強まれば、無関心層から不支持に転じる動きが加速することも想定される。こう考えると、最近の報道各社の世論調査に表れているのは無関心層・中間層の「安倍離れ」の予兆と言えないか。

 今回の調査では安保法案に関する政府・与党の国民への説明が「不十分だ」との回答が81%に上った。「中国の海洋進出に対抗するためには米国との軍事的な協力を世界規模で進める必要がある」という安全保障上の必要性と、「そのために自衛隊員が海外で殺したり、殺されたりする危険が高まる」という軍事面のリスクとを、率直に国民に語って理解を求めようとしてこなかったツケがここに噴き出している。

 そこに憲法学者らの違憲論や、安倍晋三首相応援団を自任する自民党の若手議員らによる報道圧力問題が追い打ちをかけた。「維新の党を取り込んで衆院採決に持ち込めば世論の批判をかわせるだろう」という政治的な思惑が透けて見える野党工作も加わり、国民への説明を軽視する政権の「おごり」を印象づけている。








 ◇「イライラ層」37% 顕在化する安倍離れ

 ここでもう一度、読売新聞の世論調査を見てみよう。

 安保法案の賛否を問う質問文は「安全保障関連法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか」。これだけ一方的に法案の目的を肯定する説明を前振りすれば、回答を賛成に誘導する意図があるのではないかと考えざるを得ない。にもかかわらず、「反対」が50%に達し、「賛成」の36%を大きく上回ったことこそが、皮肉にも安保法案に対する国民世論の反発の強さを浮き彫りにしたと言える。今国会での成立に「反対」が63%、「国民に十分に説明しているとは思わない」が80%。安倍政権と安保法案に好意的な報道を続けている読売新聞が誘導色の強い質問を盛り込んだ世論調査でさえ、「安倍離れ」の予兆を裏付けたことを安倍政権は重く受け止めるべきではないか。

 今回の調査では、世論の「政治感情」にも変化が表れた。毎日新聞の世論調査では毎回、「今の政治についてどう感じているか」を質問し、「頼もしい」「イライラする」「悲しい」「安心する」「なんとも感じない」の中から回答を選んでもらっている。安倍政権になってしばらく、数値の変動はほとんどなかったのだが、今回、「イライラする」が前回から7ポイント増えて37%となり、無回答が6ポイント減の9%となった。この結果からは、これまで政治感情の質問に回答しなかった無関心層の一部が政治にいら立ちを感じる層へシフトしたことがうかがえる。「イライラする」と回答した人たちのうち71%が安保法案の今国会成立に反対し、92%が政府・与党の説明は「不十分だ」と答えている。イライラ層の内閣支持率は34%と全体より低いが、今後、安保法案への反発でイライラ層がさらに増え、イライラ層の中でも内閣を支持してきた人たちが不支持に転じたら……。そう考えると、安保法案に揺れる世論の政治感情の動向も見逃せない。

 安保法案を巡る安倍政権の対応次第で、政局の潮目が本当に変わるかもしれない。その予兆として無関心層・中間層の「安倍離れ」の傾向が顕在化してきたのが最近の世論調査結果だと考える。



Posted by いざぁりん  at 03:03