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こちらです。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12017921.html?rm=150
(以下は、コピーです)
 ひと月前の「折々のことば」で知ったある石工さんの言葉にひかれ、出典を読んでみた。民俗学者、宮本常一の著書『庶民の発見』の一文は、昭和の石積み職人の「心」をあざやかにすくい取る▼その職人は、田舎などを歩いていて、他の職人が見事に積んだ石垣を見ると心を打たれたという。「この石垣をついた石工は、どんなつもりでこんなに心をこめた仕事をしたのだろう……村の人以外には見てくれる人もないのに」▼そして思う。造ってしまえばその土地との縁も切れるが、自分もやはり、いい仕事をしておくとたのしいと。「おれのやった仕事が少々の水でくずれるものかという自信が、雨のふるときにはわいてくる」。積み上げた一つ一つの石に残す心を、著者の宮本は尊いものとして見る▼そんな心をどこかに置き忘れたか、雑な工事で横浜の大型マンションが傾いてしまった。杭の一部が固い地盤に届いておらず、しかも施工記録をごまかしていたというから悪質だ▼下請けの偽装というが、販売会社に信を寄せて高い買い物をした居住者はやりきれまい。そしてきのうの紙面はもう一件、大阪の東洋ゴム工業の製品のたび重なる不正発覚も報じていた。造ったものに心を残すモラルをどちらも欠いていたようだ▼「いい仕事をしておけば……あとから来るものもその気持ちをうけついでくれるものだ」と冒頭の職人は語っていた。素朴ながら確固とした人生観のように聞こえてくる。耳が痛くないか。自問してみる。



Posted by いざぁりん  at 00:02