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違憲です。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ3G6D4HJ3GTIPE030.html?rm=394
(以下は、コピーです)
 自衛官の勧誘に生かすため、高校3年生らの名前や住所など個人情報を提供するよう自衛隊側が自治体に求めていることについて、自治体の対応が割れている。住民基本台帳を自衛隊側に閲覧してもらうにとどめるか、自治体が紙などにまとめた名簿を提供するか。名簿提供には、法的根拠のあいまいさや個人情報保護上の問題を指摘する声もある。

 防衛省によると、自衛官の募集対象となる18~26歳のうち、主に高校卒業予定者の情報を毎年、自治体から得てきた。住民基本台帳に載っている名前と生年月日、住所、性別を、自衛隊の地方協力本部(地本)の職員が閲覧し、書き写す方法が以前から一般的だった。

 2013年度以降は、自衛官募集への協力について以前から都道府県向けに出してきた大臣通知に、紙などで「名簿」を出すことを求める項目を入れ、各市町村への周知を求めている。閲覧では転記ミスが起こり、人件費もかかるという理由だ。

 同省のまとめでは、14年度は全国約1700の市区町村のうち、「閲覧」で対応したのは半数強の957。うち558自治体は、名簿提供の依頼を自衛隊側から直接、受けたものの応じなかった。一方、名簿を提供したのは4割弱の634自治体で、前年度より69増えた。07年の同様の調査では2割強だった。残る約1割は同省側が情報提供を求めていないなどの自治体という。

 自衛隊側は名簿提供の法的根拠として二つを挙げる。一つは、自衛官募集に関する一部事務を知事や市町村長が行うと定めた自衛隊法97条。もう一つは、自衛官募集に必要な時は防衛相が自治体に「資料の提出を求めることができる」とする同法施行令120条だ。同省人材育成課の担当者は「名簿提供は自治体の義務でなく、あくまで防衛省が協力を依頼する事項だと整理している」と話す。

■提供派「関係深い」閲覧派「根拠弱い」

 自衛隊の施設がある地域では、名簿提供に協力的な自治体が目立つ。陸上自衛隊の駐屯地がある鹿児島県霧島市は、10年以上前から紙で名簿を提供している。市の担当者は、自衛隊法97条を根拠に挙げた上で「駐屯地が近く、ふだんから関わりも深いから協力している」と説明した。

 陸自が駐屯する兵庫県伊丹市は、12年からCD―Rに名簿を入力して提供してきた。「阪神大震災の時に災害派遣でお世話になった。できる限りの協力をしたい」と担当者。13年度からCD―Rと紙を出す同県姫路市の担当者は「提供の内容は住民基本台帳の閲覧と同じ」と説明する。

 長野市は市内に駐屯地はないが、高校3年生の名簿を紙で提供している。市の個人情報保護条例に「国などへの情報提供は相当な理由がある場合、認められる」とあり、自衛隊法を根拠に「相当な理由がある」と判断した。名簿は約1週間後に返却される。

 一方、朝霞駐屯地がある埼玉県朝霞市。昨年1月に提供の依頼があったが、閲覧にとどめた。住民基本台帳法が定めた「閲覧」の規定に沿ったという。

 福岡市も閲覧での対応を続ける。市の条例で、住民基本台帳の情報を提供する条件を「法令等に定めがある時」としており、「自衛隊法施行令の『資料の提出を求めることができる』との表現では根拠としては弱い」と担当課は話す。

 個人情報の問題を検討する諮問機関に意見を聴く自治体もあるが、判断はばらばらだ。高知県南国市の審議会は14年、閲覧も提供も自衛隊が得る内容は変わらないなどとして「提供は問題ない」。一方、11年の福岡県古賀市の審議会答申は「提供しないことが適当」。法令の解釈が不明確というのが理由だ。審議会の会長は「なぜ(国が)統一方針を出さなかったのか。市町村でばらばらの見解が出て非常に不満」と審議で指摘した。

 沖縄県では41市町村の大半が名簿の提供をしていない。その一つ、北谷(ちゃたん)町の野国昌春町長は「自衛隊をめぐる住民感情への配慮が提供を断る一因」と話す。太平洋戦争での沖縄戦で「軍民一体」の地上戦が展開されたため、今でも住民の自衛隊への反発が強いという事情がある。昨年、宜野湾市と沖縄市が初めて提供に応じたが、抗議のデモや署名活動があった。

■減る応募

 自衛隊の応募状況はどうなっているのか。

 高校新卒者らを中心に募る「一般曹候補生」の15年度の応募は前年度より約6千人減って約2万5千人にとどまる。現在の募集区分になった07年度以降でみると、東日本大震災での自衛隊の活動が注目されて最多となった11年度のほぼ半分だ。

 景気が上向くと、民間企業に人気が集まって公務員は苦戦する。防衛省は有効求人倍率などの高まりを踏まえ、応募者減については「景気や雇用情勢の影響」と説明する。

 一方で、複数の自衛隊幹部は29日に施行される予定の安全保障関連法の影響を指摘する。ある幹部は「志願者本人が法制を気にすることは少ないが、保護者が心配して受験しないように働きかけるケースが増えている」と明かす。

 九州のある自治体では、国会で安保法が審議されていた昨夏に高校生対象の就職説明会があったが、参加者はゼロ。担当者は「本人や保護者が自衛官になることに不安を感じたと思う」と話す。大分県内の退職自衛官らでつくる隊友会の男性には14年秋以降、「危険な目に遭うのではないか」といった相談が30件以上寄せられた。「安保法が抑止力になり、戦争に巻き込まれる可能性は低くなる」と説明したが、子どもに志望を取り下げさせた親もいたという。

 《甲南大学法科大学院の園田寿教授(情報問題)の話》 自衛官募集のために住民基本台帳の情報を自治体が紙などで提供するのは法的根拠がない。住民基本台帳法で禁止する「個人情報の目的外利用」にあたり、違法だ。提供の根拠として国が挙げている自衛隊法施行令120条(防衛大臣は自衛官などの募集に関し、知事や市町村長に必要な資料の提出を求めることができる)で想定されるのは、適齢者数などの統計的な資料だろう。個人情報を扱う規定は同法にも施行令にもなく、これらを根拠に提供を求めるのは拡大解釈だ。台帳閲覧の際の転記ミスを防ぎ、人件費を抑えるという目的と、個人情報をはかりにかけるべきではない。

 《新潟大学の鈴木正朝教授(情報法)の話》 自衛隊法やその施行令など根拠があり、防衛相が住民基本台帳の情報提供を依頼し、自治体が応じるのは適法だ。住民基本台帳法に「提供」の規定がないことで違法とは言えない。提供の判断は自治体に委ねられ、各自治体の個人情報保護条例に照らして行われる。提供に応じない自治体もあるが、国はその判断を尊重しており、運用も妥当だ。むしろ、(自衛官募集が法定受託事務とされている)各自治体が、自衛隊側に代わって住基台帳の情報をもとにダイレクトメールを送れば、名簿が乱用されるリスクを抑止できる。

 〈自衛官の募集と住民情報〉 各都道府県にある自衛隊地方協力本部(地本)が自治体から得た情報の多くは、募集の案内の郵送などに利用されるが、なかには高校3年世代の男子宅への戸別訪問に使う例(佐賀地本)もある。

 高校新卒者らを中心に募集する「一般曹候補生」の15年度の応募は、前年度より約6千人減って約2万5千人。現在の募集区分になった07年度以降では、東日本大震災時の自衛隊の活動が注目されて最多となった11年度のほぼ半数。



Posted by いざぁりん  at 23:55