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2016年05月19日

(続き)

こちらです。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160518-00118446-toyo-soci&p=4
(以下は、コピーです)

 言いにくい内容になり、再び言葉に詰まったベッキーさんに中居さんは、“予測して代弁する”というテクニックを使いました。上司と部下の関係でも、「○○だから○○ではないか」「それなら○○と思っても仕方がないかな」などと予測して代弁することで、本音を引き出すことができます。

 ベッキー 「そこは子どもの言い訳みたいだったんですよ」

 中居 「そこだね。オレは別に意地悪だと思われてもいいから、そこはちゃんとしたほうがよさそうだよね。本当に下世話な話になっちゃうね」

 ベッキー 「はい」

 中居 「言いたくないのは分かるよ。オレもあんまり口にしたくないような感じだね。でも、旅行に行って、『つき合っていない』っていうのは通用しないんじゃないかと」

 ベッキー 「はい、おっしゃる通りです」

 中居 「おつき合いはしてたんだよね?」

 ベッキー 「そうですね」

 中居 「気持ち的には?」

 ベッキー 「はい。もう気持ちが通った時点で不倫だと思います」

 ベッキーさんの口から「不倫」というフレーズを引き出したこの部分は、言わば番組のハイライト。それまで優しい言葉を重ねてきたものの、非のある部分に関しては、「旅行に行って、『つき合っていない』は通用しない」と逃さずにしっかり追い込み、「おつき合いはしてたんだよね?」と続けることで、きっちり引導を渡しました。あいまいにせず、「部下に自分の非を認めさせる」という上司の務めを果たしたのです。

■ 「あえて知らないフリ」で話させる

 中居 「(会見前の)LINEが出たんでしょ? どういうのが出たんですか?」

 ベッキー 「会見の前夜なのに、『ありがとう文春』って言ってしまったり……」

 中居 「会見の前の日に、『こんなんでいこうか』みたいな」

 ベッキー 「『これをきっかけに堂々と街を歩けるかもね』とか。そのころは感情におぼれて、まだおつき合いをしたいと思っていたので……ごめんなさい」

 LINEの内容は、中居さんもある程度知っていたでしょうが、ここでは「知らないフリをして、あえて1から聞く」というテクニックを使いました。その理由は、「本人の口から語らせることに意味がある」から。番組を見ている人々に反省の意を伝えるには、過ちの内容を自らの口から話させつつ、謝罪させるのが一番なのです。

 一般企業でも、個人の失敗でグループに大きな迷惑をかけたときなどは、メンバーの溜飲を下げるためにこのような方法が効果的なので、覚えておくといいでしょう。

 中居 「今、彼とは会っていますか?」

 ベッキー 「(きっぱりと)会っていません。もう連絡も1月中旬から取っていません」

 中居 「(一転して心配するように)全然違うんだけど、それって大丈夫なの?  それは環境がそうさせてしまったのか、それとも相手が連絡も取りたくない人になってしまったのか?」

 ベッキー 「最初の報道があって、その次の週に奥様のインタビューの記事が出たんですね。そこで奥様の気持ちを初めて知って、『あっ、私はこんなふうに人を傷つけたんだ。実際はこうだったんだ』と」

 中居 「別れるかもしれないからそれを待って、順番間違えちゃったけどちょっと(交際の)スピードをゆるめていこうかと。でも(奥様の記事が)出ました。意外や意外、そんなことではなかった」
.
 ここで特筆すべきは、中居さんの余白を埋める対応。ベッキーさんが「連絡を取っていません」という結論しか話さなかったので、そこに至る過程を探るような質問をしたのです。さらに、中居さんはベッキーさんの返事を自分の言葉に置き換えて繰り返すことで、視聴者に分かりやすく伝えました。ベッキーさんとしても、中居さんの口から弁明してもらえたのは心強く、さらに信頼関係が深まったのではないでしょうか。

■ 責めすぎないように言葉をさえぎる

 ベッキー 「そこで罪の大きさを知って、『本当に間違った恋だったんだ』と知って、そこから連絡は取ってないですね」

 中居 「『間違った恋なんだな』って、何で思ったんだろう?」

 ベッキー 「もう夫婦関係は破たんしていると思っていましたが、『これは間違った恋だな』という認識も正直ありました。でも、『ちょっと順番違うけど、そのうちお別れするかもしれない』という思いもあって。でもインタビュー見たら、奥様は男性に対する思いもしっかりあったし、『長崎のご実家に行かれるのを楽しみにしていた』というのも書いてあって。そこに私が言ったわけですから、本当に最低なことをしてしまったなと」

 中居 「あのときはどんな時期?  お正月、変な話、奥様がいることはもう……」

 ベッキー 「知ってました」

 中居 「好きな人の実家……う~ん」

 ベッキー 「本当に最低なことをしてしまいました」

 中居 「それは今すごく感じるんだね」

 ベッキー 「『相手の立場に立って考える』ということができていませんでしたね。自分の気持ちのことしか考えてなかったです」

 このあたりの中居さんは、ベッキーさんの言葉をうながすように、自分の言葉を最小限に留めていました。疑問形の質問を使っていないことがその証拠であり、ボソッとつぶやくようなひと言で、ベッキーさんの絞り出すような本音をただ待っていたのです。

 中居 「何で行ったのかな? (すぐに答えないのでもう一度)ベッキーは何でお正月に彼の実家に行ったのかな?  それはどこかでごあいさつとかも意識していたのかな?」

 ベッキー 「親戚のお子さんがいらっしゃって『会わせたい』ということでお誘いをいただいて行きました。私は自分の都合のいいように取ってしまったんですね。『実家ってことは真剣に考えてくれているのかな』という浅はかな、愚かな考えで行きました」

 中居 「(言葉をさえぎるように)誘われたんだ? 『来ない?』って。もしそんな機会があったら行きたいよね。子どもたちに私ができることがあれば……って。でも、よくよく考えてみると、いやいや実家だ、実家だ」

 ベッキー 「絶対に行っちゃいけなかったですね。気持ちが大きくなっちゃって周りが見えてなかったです。本当に愚かでした」

 ベッキーさんが「浅はかな、愚かな」と自分をおとしめる言葉を続けたため、中居さんはそれを遮るようにフォローを入れました。部下が失敗を反省するのはいいことなのですが、責めすぎないように止めてあげるのも上司の愛情。そもそも自分を強く責めすぎると、本質的な失敗の理由から離れてしまうため、ほどよいところで止めてあげたほうがいいのです。

■ 満を持して一番の厳しい言葉

 中居 「(ひとり言のようにしみじみと)いやあ……好きだったんだよね」

 ベッキー 「断る勇気が持てなかったです。『断ってしまうと、男性の気持ちが離れちゃうんじゃないか』と思ってしまって、本当に情けないです、自分でも……」

 中居 「周りから見れば、『それはてめえの都合だ』ってことなんだよね。(同情するような表情で)でも、好きになったらそうなのよ」

 ここでの中居さんは、明らかにベッキーさんを試していました。中居さんは、「ベッキーがいまだに間違ったことを考えていないか?」、確認したかったのです。だから、「好きになったらそうなのよ」とカマをかけるような言葉をかけたのですが、ベッキーさんは次の言葉を返すことで、中居さんからのお題をクリアしました。

 ベッキー 「(首を横に振りながら)でもブレーキはかけなきゃダメです。ブレーキをかけられるポイントがいくつもあったのに、私は毎回かけられず……」

 中居 「いやあ、好きだからだよ。好きだからしょうがないって思うんだけども、『いやいや、てめえの都合だ』ってのもあるよ。ねっ?  でも立場考えろよ、奥さんの立場」

 ベッキー 「最低でした」

 「ベッキーは自分の間違いをしっかり把握できている。今の彼女なら大丈夫」と感じた中居さんは、ここで「奥さんの立場を考えろよ」と、この日一番の厳しい言葉を投げかけました。迷惑をかけたことに対して、しっかり叱ってくれる存在は貴重そのもの。もし中居さんが終始、優しい口調で話していたら、ベッキーさんの謝意はそれほど伝わらず、本人としても気持ちは晴れなかったでしょう。

 中居 「もう好きじゃないですか?」

 ベッキー 「(まっすぐ中居の目を見て)好きじゃないです」

 中居 「好きじゃないです、か?」

 ベッキー 「もちろん報道が出たときは、好きな気持ちはありましたし、『落ち着いたら何か月か後に出会って、そこから恋がはじまるかな』という思いも正直ありました」

 中居 「ありまし“た”?」

 ベッキー 「ありましたけど、奥様の気持ちを知って、自分の罪の大きさを知って、『あっ、これはダメだと』」

 中居 「こういう恋はいけない、イコール、今の好きな人を『すぐに嫌いです』というふうになるのかな?」

 ベッキー 「一瞬ではならないです。まず頭で考えて、『好きじゃない、好きじゃない』(と言い聞かせて)、それに心が追いついていったかもしれない」

 中居 「今、ベッキーは好き?」

 ベッキー 「好きじゃないです」

 中居 「あっ、そう……すげえ、好きだったんだね」

 ベッキー 「う~ん……。(涙を流しながら)そうですね。それは好きでした。ごめんなさい」

 中居さんが会話を仕上げに向けて動かしています。一度聞いたことを再確認したり、現在形なのか過去形なのかにこだわったり、改めて今後の覚悟を問うような質問を続けました。このタイミングでベッキーさんが号泣したのは、覚悟を試されていることが伝わったからでしょう。失敗した部下を指導するときも同様に、終盤の再確認が再発を防ぐことにつながります。

■ 失敗を今後に生かす決意表明

 中居 「すごい半年だったね。テレビ見ている人いっぱいいると思うし、ベッキーのファンの子もいっぱいいるし、やっぱり誠実なイメージもあるし、そんなベッキーが不倫をしていたんじゃないかと。記者会見も歯切れが悪かった。ウソをついていたんじゃないか。その裏切りっていうのは、否めないところはあるよね?」

 ベッキー 「はい」

 中居 「それを含めて、何か見ている人に伝えたいことがあったら」

 ベッキー 「ファンのみなさま、世間のみなさまをおさわがせしてしまったこと、本当に申し訳なく思っています。1月に行った記者会見はたくさんの間違いがありました。言葉を届けるお仕事をしているにも関わらず、事実と違うことをお伝えしてしまって、本当に深く反省しています」

 中居 「そうだね」

 ベッキー 「人としてもプロとしても、本当に最低なことをしてしまいました。いろいろな方々を傷つけ悲しませ裏切ってしまい、深く深く反省しています。お許しはいただけないと思うんですけども、またこのテレビのお仕事をゼロから、もうマイナスから頑張らせていただきたいなと思っています」

 会話の締めくくりは、失敗した本人からの決意表明。中居さんは、話すべきことを丁寧に前振りして、ベッキーさんに過不足のない決意表明をさせました。

 また、「最後に前向きな言葉で締めくくらせる」のは、部下との会話における基本中の基本。特に、失敗を今後に生かし、リスタートの一歩を力強く踏み出すためには欠かせないことです。

 中居 「今の言葉にウソはないですよね?」

 ベッキー 「ウソはないです。もう本当に深く反省しています。もう二度とみなさんを裏切ることのないように。本当にすみません」

 中居 「今日こうやって話してくれるのに、すごい覚悟があったと思うし、今後もしばらく覚悟を持ってね。たたかれることはあるかもしれないけど、頑張ろうね」

 ベッキー 「頑張ります」

 中居 「じゃあ、オレ帰るわ」

 ベッキー 「貴重なお時間、ありがとうございました」

 中居 「(照れを隠すように)すげえ貴重だよ。オレさ、正座していないのに足しびれちゃったよ。あいたたた……」

 ベッキー「うふふふ(泣きながら笑う)」

 緊張と緩和。シリアスな話のあとにクスッと笑わせられる上司は間違いなく愛されますし、部下が抱く感謝や尊敬の気持ちも高まります。怒りっぱなしで終わるのではなく、最後に笑顔を交わして終わることができれば、その印象は「怒ってばかりの嫌な上司」ではなく、「厳しくも愛のある上司」と大きく変わります。

 この日のベッキーさんは、緊張した顔から、厳しい顔、泣きはらした顔、そして最後の笑顔まで、中居さんによって多くの表情が引き出されました。それこそが本音を語ったことの証であり、聞き手としての中居さんがいかに素晴らしいかを物語っています。



Posted by いざぁりん  at 00:23