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こちらです。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12407185.html?rm=150#Continuation
(以下は、コピーです)
 「ドナウの真珠」。そう呼ばれるハンガリーの首都ブダペストは、中央をドナウ川がゆったりと流れる美しい街だ。

 この街を訪ねようと思ったのは、総選挙で3分の2の議席を取ったオルバン政権が5年前、野党の反対を押し切り、憲法を丸ごと書き換えたと聞いたからだ。しかも、中身が自民党の日本国憲法改正草案と似ていログイン前の続きる。

 前文を読み比べてみる。

 〈自民草案〉「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」「良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」

 〈ハンガリー新憲法〉「我々は、我々の王、聖イシュトバーンが千年前に、堅固な基礎の上にハンガリー国家を築き」「我々の子供及び孫が、その才能、粘り強さ及び精神的な力により、再びハンガリーを偉大にすると考える」

 相通じるのは、過去への憧憬(しょうけい)であり、歴史と伝統の上にある「国柄」を次世代へ引き継いでいこうとする発想である。

 ハンガリーは、苦難に満ちた複雑な歴史を歩んできた。

 16世紀にオスマン帝国、17世紀末からオーストリアに支配され、1867年にオーストリア・ハンガリー二重帝国に。第1次大戦に敗れると、トリアノン条約で国土の3分の2と人口の5分の3を失う。領土を取り戻そうと第2次大戦では枢軸国側として戦い、再び敗れた。

 民族を散り散りにした敗戦が、ハンガリーの人々にもたらした喪失感と屈辱感――。オルバン政権は2010年、トリアノン条約が締結された6月4日を「国民連帯の日」とした。国民国家の枠を超えて民族の一体感を強めようと、自国の外で暮らす在外ハンガリー系住民にもハンガリー国籍を与えた。

 新憲法の前文では、王国時代、国家を象徴する存在だった「聖なる王冠」に敬意を表するよう、国民に命じる。

 王冠は第2次大戦中に国外に持ち出され、78年に米国から戻ってきた。国立博物館で保管されていたが、第1次オルバン政権時代に、国会議事堂へと移された。「権力の象徴」を、我が手に取り戻そうということなのか。ブダペストで会った政治学者は、新憲法は、第2次大戦以降の歴史を「負の歴史」として否定し、王冠が権威を持った古い歴史と「伝統あるハンガリー」へと回帰する思想に貫かれている、と言う。

 伝統回帰という点では、自民草案でも「長い歴史と固有の文化」を持つ「美しい国土」が強調される。草案Q&A集によると、改憲の動機は「占領体制から脱却し、日本を主権国家にふさわしい国にするため」。安倍晋三首相も著書「美しい国へ」で、憲法前文の一節を指し「敗戦国としての連合国に対する“詫(わ)び証文”」と書いている。

 米国の歴史学者、ジョン・ダワー氏の言葉を借りれば、敗戦と占領、憲法が制定された時代は、草案の起草者には、「自由な選択が制限され、外国のモデルが強制された、圧倒的に屈辱的な時代」(「敗北を抱きしめて」)と映るのだろう。

 ハンガリー新憲法と自民草案はもう一つ、共通の背景を持っている。グローバル化で、国家や国民のアイデンティティーが揺らいでいることへの危機感だ。



Posted by いざぁりん  at 00:42