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こちらです。
http://digital.asahi.com/articles/ASHDB4JM3HDBPTFC00T.html?rm=801
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■子どもと貧困 シングルマザー編

 ジリリリリリリン。

 午前5時45分、携帯電話のアラームが鳴り出す。聞こえてはいるが、体は鉛のように重い。5分後、また鳴る。10分後。3度目のアラームで、北海道に住む介護職の女性(43)は体を布団から引きはがす。

 高1の長女(16)は部活の朝練へ。女性は長男(6)と次男(2)に食パン1枚を半分ずつ食べさせ、保育園に送る。7時半には職場の介護つき住宅に着く。

 職場では一日中立ったり座ったり。病院や役所にも足を運ぶ。甲状腺に持病もあり、調子が悪い日は汗が止まらない。職場の食堂で午後2時に食べる200円の定食が一番まともな食事。朝は食べず、夜も自分はご飯と砂糖だけだ。

 保育園が閉まる直前に滑り込む。帰って夕食を食べさせ、午後10時までに寝かしつける。洗濯と翌日の夕食の準備をし、持ち帰った仕事をこなし、午前2時すぎに眠りにつく。

 長女を連れ27歳で離婚。資格を取って働けば安定すると思い、介護の職場で長くパートなどで働いた。月収は手取りで約18万円。別の男性との間に長男、次男が生まれたが、結婚はしなかった。子どもが小さいうちは夜勤をやめ、手取りは一時11万円に減った。

 今年10月、正社員になったが、月収はパートの時とほぼ変わらない。正社員は全員ひとり親。パートも含め、子どもの病気で急に休むことも少なくない。勤務変更に追われ、土日出勤も多い。

 そんな暮らしの中で、諦めさせたこともある。

 長女は小1から校区のミニバスケットボールチームに所属。全国大会に行くほどの強豪で、小5でレギュラーになった。月謝の4千円に加え、遠征費が年15万円以上かかった。他の親のように遠征に同行できない代わりにと、夜練習の送迎を任された。1年は踏ん張ったが、小5の3月、長女に伝えた。

 「全国大会行けるけど、うちは、これ以上は無理なんだよね。6年生から転校しない?」

 「ここまでやってきたのに、なんで」と長女は嫌がり、口数が減った。辞める理由を周りに知られると娘が傷つく。そう考えると転校させるしかなかった。「わかってもらわないと、家族一緒に生きていけなかった」と女性は振り返る。

 生活保護も考えたが、「懸命に働く背中を見せて自分で養いたい。生活保護か、馬車馬のように働くか。他の道はないのでしょうか」と話す。

■昼も夜も働いても、何も残せない

 中部地方に住む女性(29)はダブルワークで、長男(9)、長女(7)、次男(4)を育てる。

 日中は自宅で看板などデザインの仕事をする。子どもに何かあっても都合がつけやすい半面、受注は不安定で月収は平均5万円。週4日ほどスナックで働き、月約10万円を稼ぐ。「収入が減るから」と高熱でも夜の仕事は休まない。

 4年前、夫の暴力が続き、生活費も入らなくなって離婚。養育費は1年で滞った。春や夏はツクシやタンポポを摘んで食べた。長男が最近、夕飯を食べながら言った。「高校は昼働いて夜の学校に行く。お金稼いで半分はママにあげる」。涙がにじんだ。

 自分も母子家庭で育ち、朝から晩まで工場で働き詰めの母を見てきた。子どもが寂しくないよう、自分は少しでも一緒にいられる仕事を選んできた。でもこのままでは何も残してやれない。年明けからもう一つ、訪問営業の仕事を始める。「体はしんどいけど、稼げるうちに稼ぐ」

■働いて貧困か、生活保護か…ひとり親の「ジレンマ」

 経済協力開発機構(OECD)諸国の中で、日本のひとり親世帯の貧困率は高い。2010年調査では、50・8%で最も高かった。米国は45・0%、仏は25・3%、英国は16・9%。

 日本のシングルマザーの8割は働いているが、収入が低いのは非正規就労が多いためだ。厚生労働省の全国母子世帯等調査(11年)によると、働くシングルマザーの5割はパート・アルバイトで、その平均年間就労収入は125万円。

 労働政策研究・研修機構の周燕飛研究員によると、シングルマザーの多くは子育てのため非正規就労を選ばざるをえず、正社員になっても子育て期に離職しているため中途採用で低賃金に抑えられているという。

 養育費を払う親が少なく、児童扶養手当などの福祉給付が十分でないため、「働いて貧困生活を続ける」か「財産を手放して生活保護を受ける」かのジレンマに陥ると指摘。「働くひとり親世帯に対する新たな所得援助制度を国は設けるべきだ」と話す。



Posted by いざぁりん  at 00:31