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こちらです。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160929-00137355-toyo-soci
(以下は、コピーです)
東洋経済オンライン 9月29日(木)8時5分配信

木更津で生まれ育ったシングルマザー、佐々木優香さん(30歳、仮名)

この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、千葉県木更津市に住むシングルマザー30歳。彼女は、なぜ貧困に苦しむようになったのか。

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 千葉県木更津。房総半島の中部にあり、東京湾アクアラインやドラマ「木更津キャッツアイ」で有名になった地方都市だ。移動する人がいるはずの平日夜7時に内房線木更津駅前に着くと、街は驚くほど閑散としていた。人はまばらでパチンコ店はシャッターが降り、数軒の飲食店にはほとんど客はいない。駅前は薄暗く、駐車場や更地ばかり、木更津駅前は知名度からは懸け離れた過疎化が進んでいた。

 「完全に寂れています。この10年でガラリと変わってしまいました。ずっと駅周辺は市の中心だったけど、アクアラインをきっかけにショッピングモールとかアウトレットができて、駅前から郊外に人が流れた。ファストフード店とか商店はどんどん潰れて、この状態。もうダメでしょうね。たくさんの地元の人間が仕事を失ったし、私も両親もずっと貧困みたいな状態です」

 佐々木優香さん(30歳、仮名)は木更津で生まれ育った地元のシングルマザーだ。木更津駅徒歩圏の小さなアパートに2人の子どもと暮らし、福祉用具専門員として高齢者向けの福祉用具レンタル販売会社に勤める。実家は地元で商売をしていたが、商店街の衰退によって廃業。現在、両親はパートで生計を立てている。

 木更津は1997年に川崎―木更津間の東京湾アクアラインが開通。2000年、大規模小売店法が改正されて、企業による開発の格好のターゲットになった。アクアライン以前は値段がつかなかったような郊外の過疎地が買い占められて、大規模ショッピングモールが続々とオープンした。そして、活発に商業活動が行われていた駅周辺や地元商店街は壊滅状態となった。

■社員だが、基本給は15万4000円

 木更津市の平均所得は322万円2835円(2013年総務省土地統計調査より年収を算出)。たった40キロほどしか離れていない東京都の平均年収632万5400円(2015年賃金構造基本統計調査)と比べると、極端に低い。大規模小売店法改正によって地域経済が縮小し、大企業におカネが流れている状態といえる。

 地元の福祉用具レンタル販売会社社員である佐々木さんの給与も安い。基本給15万4000円に職能手当1万円、固定残業手当5000円がついて月給16万9000円。社会保険が引かれた手取り支給額は14万4677円。児童扶養手当4万7000円、児童手当2万円をもらって、親子3人でなんとか生活している。

 「家賃5万円で光熱費と携帯代、学校の給食費とか生命保険を払って食費を使えばほとんど残りません。子どもは野球をやっているけど、急な出費5000円とか6000円を用意するのが難しかったり、来年進学の中学校の制服はどうしようとか。子どもはシニアで野球をやりたいって言っていて、今のギリギリの経済状態では難しい。このままでは子どもの夢も潰れちゃう。いけないと思って、先月社長に給料を上げて欲しいと直訴しました」

どんな会社なのか?

 佐々木さんは勤続3年目。千葉県の最低賃金は時給842円であり、15万4000円の基本給は最低賃金に近い金額だ。福祉用具事業は都道府県から認可されて営業する介護保険事業で、社会保障費の縮小の流れで事業者が手にする報酬は減り続けている。事業所の報酬減は人件費の圧縮に直結する。介護関係職は最低賃金に張りついた給与で働かせる、という意識が根付いている。

 「会社は居宅介護支援事業所と福祉用具をやっていて、福祉用具は私ひとりでやっています。営業、相談、納品、介護保険請求の全部です。3年前に福祉用具の仕事を始めてから必死で勉強して、器具の解体組み立てとかもして専門性は身に付けました。頑張ったのはやはり学歴もないし、子どもと自分のためになんとか手に職をつけようって意識。でもどれだけ頑張っても、ちゃんとおカネがもらえない」

 経営者への給与アップの要望は、はぐらかされて終わっている。詳しく話を聞いてみると、やはり彼女が勤務するのは介護保険の不正請求が常態化している悪質な事業所だった。

 福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業は、介護保険法によって人員基準が定められている。常勤換算で福祉用具専門相談員は2人以上の設置が必要だが、佐々木さんの勤める事業所は名義貸しで架空の管理者兼福祉用具専門相談員を置き、最低賃金に張りついた低賃金の佐々木さんひとりに運営させるという状態だった。千葉県や木更津市に虚偽の申請をして、介護保険を不正請求するという手口だ。

■雇用契約書、出勤簿、給与明細を偽造

 「介護保険法で福祉用具専門員は常勤2人以上って決まっている。けど行政の実地調査は報告がないかぎり、定期的に回ってくるだけ。必ず事務所に連絡をして日にちを決めて調査に来るので、そのときだけ介護保険法に則した書類をそろえる。ひとりしか働いていないのに2人以上で運営しているという書類を膨大に作成して、不正を隠すんです。普通に文書偽造。すべて社長の指示でやっています」

 行政の実地調査までに偽造の雇用契約書、出勤簿、給与明細などを準備して人員がそろっているように見繕う。この不正請求は、全国の多くの介護保険事業所で常態化している。

 「うちは200人近く利用者を抱えています。最低でも2人、普通は3人くらいで回す人数です。月に200人の利用者を回れるかと言えば、不可能だし、ひとりだとどんなに頑張っても半年ぐらいはかかる。モニタリングをしたくても、激務でまったくできない状態」

 佐々木さんは、ただ働いているわけではない。資格を取得して、さらに専門性を身に付けて多くの高齢者や家族に信頼され、売り上げを上げても貧困ギリギリの生活から抜け出せないのだ。



Posted by いざぁりん  at 01:33