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2019年07月27日

搾取のからくり

ベーシックインカムを採用するか、社会主義を採用するかを、しなければなりません。
報道は、こちらです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190726-00209883-diamond-soci&p=4
(以下は、コピーです)
ここが経営学的にいうと重要なところですが、パーセンテージで見ると9対1で契約するような若手芸人からの搾取がひどいように見えるものの、金額で見ると実は5対5の力関係になっている有力芸人からの搾取分のほうが大きく、会社はそれで成り立っているものなのです。

 ビジネスの経験則に「パレートの法則」というものがあって、たとえば「2割の人が8割の売上げを稼ぐ」などという状況が、会社経営での「当たり前」だったりします。芸能人の世界は「2:8」よりも「1:9」や「0.5:9.5」に近いともいわれますが、あくまでモデルケースとして考えると、2割の有力芸人が5対5の契約で会社の8割の売り上げを担っていたとしたら、どうなるでしょうか。また、残り8割の芸人が9対1で搾取されているとすれば、平均ではどうなるのか。計算してみましょう。

● 「平均値で5対5から6対4」 吉本の言い分はおかしくはない

 計算してみるとわかりますが、このモデルの場合、有力芸人から搾取した額が売り上げ全体の40%(8割の50%)で、その他の芸人からの搾取額は売り上げ全体の18%(2割の90%)になるので、合計は「会社58%、芸人42%」という数字になります。つまりほぼ6対4となるわけです。さらに同じモデルで、有力芸人の会社との取り分が4対6のように力関係が逆転していると仮定したならば、全体の数字はちょうどぴったり5対5になります。

 これはあくまで他社でよくある状況をモデル化した数字ですが、吉本興業の岡本社長が「ざっくり平均値で5対5から6対4」と述べた数字とほぼ一致しています。会社と芸人の間に認識のズレが生まれるのは、こうした「計算上のマジック」のようなものによると考えていいのではないでしょうか。

 そして、もしも一部の芸人が言うような1対9の搾取があるとした場合も、吉本興業のビジネスモデルを考えると、他の芸能事務所にはないメリットを若手芸人に与えている側面があります。つまり吉本は劇場を運営していて、そのことで若手を育てている。その分、お金もかかっているので、若手からたくさん搾取をする。もしそうならば、ここは会社の言い分も認めてあげるべきところです。

 そもそも私が昔勤務していたコンサルティングファームでも、ざっくりとした平均値でいうと、会社とコンサルタントのクライアント報酬の分配比率は、7対3から8対2というところでした。特に若手コンサルからの搾取が非常に大きかったのですが、会社の言い分は「君たちにはものすごく育成コストをかけているんだぞ」というものでした。

 何が言いたいかというと、資本主義とは所詮そういうものであり、会社による搾取という意味では、吉本興業の水準が特にひどいわけではないということです。若手が会社に搾取される一方で成長の機会を与えられ、そのチャンスをものにした一部の人間だけが成功者になれる。この流れを否定してしまうと、芸能界というビジネス自体が崩壊してしまうわけです。

● 吉本や大企業は悪いのか、 それとも悪くないのか

 さて、搾取に関してのみフォーカスして考察したこの問題の結論を、改めて整理してみましょう。

 会社が若手社員や非正規労働者から1対9で搾取することは、どの企業でもよくある話です。しかし本当に会社が稼げるのは、他人の10倍以上の売り上げを誇るようなスーパー社員の貢献を搾取するからです。そういったスーパー社員は年収1000万円を超える年収を得ているけれど、金額でいえば貢献度の低い若手よりもずっと搾取をされているのです。

 そういった構造でざっくりと会社全体を平均してみると、搾取の比率が「5対5から6対4」になっているように見える。吉本興業と芸人の認識の違いは、このあたりに原因があるのではないでしょうか。

 一方で、最近社会問題になっているのは、従業員ではなく業務委託の立場で働き手と契約をすることで、最低賃金を回避するような大企業の経営手法です。その手法は合法である一方、フルタイムで働くことを強いられる美容室やコンビニで働く人たちにとっては、生活の質を損ねかねない問題となります。

 それに対して、吉本芸人の場合、フルタイムで仕事が入るわけではなく、かつ直営業も基本的に黙認されていたのであれば、会社がたくさんの芸人を抱えて「仕事の場」を与える今のシステム自体は悪くないかもしれません。

 野暮を承知で「搾取のメカニズム」を解説してみましたが、世間の感覚とはちょっと違う結論になったかもしれません。果たして、「搾取」という側面で見れば吉本は悪くはないのか、それとも吉本も他の大企業もみんな悪いのか、真実はどちらでしょうか。



Posted by いざぁりん  at 00:33