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こちらです。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151118-OYT8T50114.html?page_no=2
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異常な経営者の下で起こる「特殊な問題」ではない

 だが、大学生が店舗経営の中心的な戦力として過剰に期待されてしまうと、学業との両立が困難になることもある。そして、人手不足を経営者の側が解決できない場合、店舗の維持のために暴力、いやがらせなどに発展してしまうのだ。

 実際に「ブラックバイト」の労働相談で大変多いのが、「辞めると損害賠償を請求すると言われていて辞められない」というものだ。親のところにまで数十万円、時には100万円を超えるような賠償を請求してくることもある。一人暮らしの大学生の場合、下宿先に押しかけられたり、待ち伏せされたりすることもある。

 以上を踏まえ、『ブラックバイト』で私が提示した、ブラックバイト問題の構図は以下の通りだ。

 「ブラックバイト」は決して異常な経営者の下で起こる「特殊な問題」ではない。今日の飲食業、小売業のコスト競争と人手不足の中で学生への「戦力」としての期待が高まっているところに問題の核心があるのだ。

 今回の厚労省の調査でも、学生アルバイトのトラブルの件数で多かったのが「採用時に合意した以上の勤務シフトを入れられた」(14.8%)、「一方的に急なシフト変更を命じられた」(14.6%)など、勤務シフトに関するトラブルであったことは端的にこのことを表している。

 問題は、前述のケースのように大手企業にもブラックバイトが蔓延まんえんしているという事実だ。実は、大手ブランドのチェーン店でも、その経営主体は零細企業のフランチャイズ企業であることが大半だ。先ほどのケースの場合にも、実際の事業責任者は零細企業だった。

学生自身が零細経営者に「同情」してしまう

 万一そのような企業で、自分の子供がアルバイトを始めてしまうと、経営者に取り込まれてしまい、酷使されてしまうかもしれない。だからこそ、本人だけではなく両親もそうした「ブラックバイトのリスク」を知っておく必要がある。

 恐ろしいことに、アルバイトをしている学生自身が零細経営者に「同情」し、辞めることができなくなってしまうケースも後を絶たない。実際に学生なしでは経営できない店舗では、「自分が辞めると店長に迷惑がかかってしまう」「お店が回転できなくなる」との責任感から辞められず、大学を退学するまで取り込まれてしまうこともあるのだ。

 はじめは「週に2、3日働こう」と思っていても、職場に通う中で度々店長に「お前は未熟だ」「社会で通用しない」などと叱責される。あるいは店舗運営の責任を一身に担ううちに精神的に支配されるようになり、半ば洗脳状態に追い込まれる。

 私の労働相談の経験では、親からの仕送りが十分にある学生でも、職場に取り込まれてしまい、大学に通えなくなってしまったという者も少なくない。「ブラックバイト」はどんな学生にも降りかかる可能性のある「罠わな」なのだ。

バイト探しも事前の調査が必須に

 「ブラックバイト」を見分けるには、ブランド名だけではなく、運営する事業体や働く店舗で十分に人手が足りていそうかどうかをよく調べるとよいだろう。目当ての店舗に客として夜、昼間などに何度か出入りしてみれば、様子を把握できるはずだ。両親や周囲の教師たちは「アルバイト先に使いつぶされる」危険を理解し、仕事探しの相談に乗る必要があるだろう。

 また、「ブラックバイト」に入ってしまった場合には早めに外部の相談機関に連絡してほしい。私が代表を務めるNPO法人POSSEや労働組合のブラックバイトユニオンでは常時、労働相談を受け付けている。本人だけではなく、両親や関係者でもかまわない。POSSEでは、実際に両親からの相談が半数近くを占めている。被害を極力小さくするためにも、早期解決が重要なのである。

プロフィル

今野晴貴( こんの・はるき )

 1983年、宮城県生まれ。NPO法人POSSE代表。年間2000件の若者からの労働相談に関わっている。共著に『ブラックバイト』(堀之内出版)、著書に『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)など多数。2013年に、「ブラック企業」で新語・流行語大賞トップ10、『ブラック企業――』で大佛次郎論壇賞を受賞した。



Posted by いざぁりん  at 00:31